(1)貿易・投資自由化と利便化。投資・貿易協力は「一帯一路」構築の重点内容であり、貿易・投資自由化はAPEC設立の初志である。投資・貿易利便化問題の解決と投資・貿易障壁の撤廃は、地域内と各国の良好なビジネス環境を作ることに役立つ。両者間のリンクを通じて、アジア太平洋地域の高効率でスムーズな貿易利便化政策体系の構築を促進し、共に協議を重ねて自由貿易圏を設けることで、アジア太平洋地域協力の潜在力発揮を促すことができる。
(2)インフラ相互連結。インフラ相互連結は「一帯一路」構築の優先分野であり、APECの全面的相互連結実現の重要な構成部分でもある。インフラ相互連結は経済成長と起業・雇用創出を刺激できるだけでなく、地域の長期的発展のために堅固な基盤を固めることもできる。インフラ相互連結の面では、アジア太平洋地域インフラ建設計画と技術基準体系のリンク及び地域国際幹線道路建設を重点として、APEC各メンバー間をつなぐインフラネットワークの構築を絶えず推進していく必要がある。
(3)投融資協力。「一帯一路」枠組み下で、AIIB、シルクロード基金、中国・ASEAN銀行連合体、上海協力機構銀行連合体など投融資機関が相次いで設立されている。それと同時に、APECが策定したポスト2020ビジョンが目指している持続可能で包摂的な成長の促進、全方位的相互連結協力など多くの目標の達成には、資金的な支えが欠かせない。したがって、「一帯一路」枠組み下の2国間・多国間投融資メカニズムとAPEC協力とのリンクは非常に将来性がある。
将来性あるアジア太平洋協力プロセスを共に築く
「一帯一路」構築とAPEC体制発展の推進にとっても、アジア太平洋地域の協力プロセスにとっても、「一帯一路」とAPEC協力のリンクは非常に重大な意義を持っている。
APECはアジア太平洋地域で最も影響力ある経済協力フォーラムであり、アジア太平洋地域で最もハイレベルの政府間経済協力メカニズムである。世界経済が低迷する中で、APECメンバーの経済成長は全体的に減速し、保護貿易主義が台頭しており、アジア太平洋地域協力の原動力は明らかに不足している。それと同時に、APEC経済体の経済成長は二極化が進み、各メンバー間の所得格差は絶えず拡大し、APECが持続可能な開発目標を達成する上で最大の障害の一つになっている。アジア太平洋地域において、差し迫って解決が求められている最大の問題は依然として発展なのである。
「一帯一路」は発展の問題に焦点を当て、しかも相互連結を重点としており、APEC協力とのリンクはアジア太平洋地域発展の必要を満たし、地域協力の新たな原動力を生むことができる。人類運命共同体の構築は、中国が人類の未来の運命について示した考えであり、世界の平和・発展事業について示した責任ある態度である。「一帯一路」とAPEC協力とのリンクは、「人類運命共同体」意識の確立を通じて、アジア太平洋の「大家庭精神」を発揚し、かつ最終的にアジア太平洋運命共同体の構築を目指すものなのである。
(徐秀軍 中国社会科学院世界経済・政治研究所国際政治経済学研究室主任)
「北京週報日本語版」2018年11月21日