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新しい年を迎えたAIIBが世界に夢を与える
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鳩山由紀夫 · 2017-01-05 · ソース: |
タグ: AIIB;トランプ氏;政治 | 印刷 |
トランプ氏のシンクタンクが、アメリカがAIIBに参加しないことは戦略的な間違いかもしれないと話しています。今では私は参加する可能性はあると思います。まず、トランプ氏がTPPを好まなかった理由の一つは、明らかに中国が入っていないことだと思います。中国抜きで、アジア太平洋の自由貿易を議論しようとしても、それは極めて不十分なものになってしまうことは明らかですから、トランプ氏から見れば、中国抜きの発想は考えられない。だとすると、AIIBはまさに中国が一つの中心的役割を果たす仕組みの銀行ですから、そしてユーラシア大陸全体だけでなく、アフリカやアメリカも含めてインフラ整備を図っていこうという趣旨で作られる銀行ですから、そこにアメリカが協力するメリットを考えれば、私はトランプ大統領が就任されれば、AIIBに入ることを決めることは、十分にあり得ると思います。
私は情けないことに、アメリカが参加すれば、日本も参加すると思います。ですが、それは一番悲惨なことになると思います。ですから、アメリカがトランプ大統領になった時に、どのような外交政策にチェンジするか、見極めて、早いうちから手を打つことが大事です。AIIBにアメリカが入りそうだとするなら、その前に日本からAIIBに対して参加する意向を示すべきだと思います。
「トランプ現象」ブームでより強い共同体精神を
グローバリズムのアンチテーゼの一つとして、自分の国だけはという方向に動いてきています。その動きが日本にまで及ぶ可能性もありますし、日本がある意味で、アメリカとの安全保障関係を重視するあまり、中国脅威論のようなものを振りかざすことも、一種のナショナリズムとも言えると思います。すなわち、どこか対抗する国を作り、その国に対して、自分たちの方が強いぞと、自分たちの方が経済的にも優れているということを示したいがために、中国脅威論を作っているような気がします。日本は20年以上景気が悪く、自信を失っている時に、強い日本を作る、強い日本の経済を作るみたいなことで、国論をまとめようとしているという意味で、ナショナリズムは日本の中でもすでに生まれている、あるいは、それを上手く利用して安倍首相は、政権維持を図って、支持率が高い原因を作っていると思います。
現在、世界各地でポピュリズムや排外主義が台頭する中、私はより一層東アジア共同体の重要性を強調していきたいです。ナショナリズムもグローバリズムも、それによって一人一人に利便性を提供できるようになってきていることは、間違いありません。しかし、それによって富が偏ってしまっている。それに対する危機感から、自分たちの国は、自分たちで守るという、ナショナリズムが巻き起こってきている。ナショナリズムが逆に、今度は国対国の戦いを激しくしてしまう。そういう時に、国対国にならないようにするために、より広い枠組みを作り、何か紛争が起きそうな時は、みんなで協議する場を作ることが大事であり、そういう場としての議会のようなものを作っていく。何かあった時に、そこで議論をしようと、話し合わないのではなく、なんでも話し合って、結論を出そうよとする仕組みを作っていくことが大事だと思っています。
今、このような時だからこそ、東アジア共同体を主張する価値があると思っています。EUを見ていると、共同体も上手く行かないないじゃないか、イギリスも離脱するじゃないか、あるいは、ギリシャのように金融危機が蔓延して、危ないじゃないかと、色々あります。でも、それはむしろ、そういう事例を見ることは、参考になって、だから、我々は通貨の統合はちょっと急ぐのはやめようとか、域内の人々の通行の自由があまりにも行き過ぎると、逆にナショナリズムが高まってしまう、移民がどんどん増えると、移民によって自国の人々の労働力がやられてしまうという危機感が起こるので、そういうものはある程度抑制する必要があるので、人の自由な行動も、ある程度は制限が必要になってくるなど、EUを見ながら、反面教師として、学ぶことも大事だと思います。ただ、EUは不戦共同体ですから、東アジア共同体も、この中では絶対に戦争を起こさないとするためには、参考になると思います。
AIIBが世界に夢を与える
私はAIIBが一年目で、安全運転をしていると思っています。それでいいと思っていますし、期待感は高まっています。人数が少ない中でのスタートですが、むしろ、それで経験を積んで、実績を踏まえて、来年以降、新しい分野にも大胆に進んでいくことが望ましいと思います。少なくとも、一帯一路構想で、鉄道をヨーロッパまでつなげるなど、世界の人たちに夢を与えるような、ヨーロッパもアジアも一つになるというイメージを作ってくれていることは、とても大事なことだと思います。そういう夢を持つことで、国同士が喧嘩することはおかしいとなっていくわけです。こういった夢を与えてくれる、そして今までに経験のある方から学びながら、徐々に実績を重ねていることは、スタートとしては、非常に素晴らしいと思っています。
これからは、むしろ大きな成長を期待したいですし、少しでもお手伝いできればと思っています。
「人民中国」2017年1月5日
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