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韓国の「THAAD」配備は地域の緊張を激化させる
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本誌記者 于林濤 · 2016-07-27 |
タグ: 韓国;THAAD配備;政治 | 印刷 |
朝鮮半島に米国のTHAAD(終末高高度防衛)システムを配備するという韓国政府の決定が国内外で極めて大きな反発を招いている。
THAAD配備が発表されると、THAAD配備候補地と目される慶尚北道星州郡の住民数千人が政府の決定に抗議するデモを行った。慶尚北道星州郡はソウルの東南約200キロに位置し、THAAD配備の最有力候補地とされている。7月15日午前、韓国の黄教安総理は星州郡で行われたTHAAD配備に関する説明会に出席し、現地住民の反対の声を静めようとした。しかし、怒った民衆は卵とミネラルウォーターボトルという手荒い方法で黄総理を出迎え、黄総理をひどく狼狽させた。
現地の人々はTHAADシステムのレーダーが発する強力な電磁波と騒音が住民に甚大な健康面の脅威をもたらすことを心配すると同時に、THAADが現地の環境を破壊し、現地経済の支柱であるマクワウリの生産に壊滅的な影響を与えることも憂慮している。
これほど大きな反対の声を前にしては、こう問わざるを得ない。THAAD配備は本当に韓国に安全をもたらすことができるのか?
実のところ、朝鮮半島におけるTHAAD配備の軍事効果はまだ評価が定まらない段階にある。韓国国防省によると、韓国の領土にTHAADを配備する主な目的は、日増しに高まる朝鮮からのミサイルの脅威への対応だ。
しかし、ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究センターのシニア研究員である金永文氏は、「THAADは大陸間弾道ミサイル迎撃のために設計されたものだ。その迎撃高度は5万メートル以上に達するからだ。朝鮮が韓国に対して核兵器を使用したとしても、大陸間弾道ミサイルで発射する可能性はあまりない」と指摘する。一方、軍事専門家の分析によると、朝鮮のミサイル発射高度は通常2万メートルを超えることはなく、10分以内に韓国全域をカバーすることが可能だ。それと同時に、THAADシステムを撹乱するため、朝鮮は技術手段を用いて弾頭を搭載したミサイルをいくつかに断片化し、本当のミサイル弾頭かどうかを判別しにくくすることもできる。従って、朝鮮からの核の脅威に対するTHAADシステムの防御効果が「大砲で蚊を撃つ」に等しいことは、考えれば分かることだ。
韓国のTHAADシステム配備は、朝鮮からのミサイルを防御する助けになるというより、半島の緊張情勢を更につのらせると言ったほうがいいだろう。なぜなら、ピョンヤン政府はこの措置を韓国と米国による深刻な挑発行為だと考え、その核計画を更に加速させて反撃に出ると見られるからだ。
このほか、韓国のビジネス界では、同国政府のTHAADシステム配備計画が自国経済に悪影響を与えることを懸念する見方が一般的だ。
THAADシステム配備の決定が発表されるとすぐ、LG生活健康の株価が4.5%暴落するなど、中国市場への依存が比較的高い韓国の上場企業の株価が大幅に下落した。韓国の化粧品、観光、小売などの業界は、ソウル政府の今回の措置が中国人顧客の不満を呼び、韓国産商品を購入しなくなることを懸念している。そうなればこうした業界は耐えられないだろう。上記業界はほとんどの利益を中国市場で上げているからだ。
「北京週報日本語版」2016年7月27日
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