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お年寄りたちの心に寄り添う北京の高齢化対策
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本誌記者・植野友和 · 2020-01-17 · ソース:北京週報 |
タグ: 高齢化;老人ホーム;社会 | 印刷 |
約14億の人口を擁し、広大な国土を持つ中国について、ある1点を取り上げて全体を論じることは簡単ではない。しかし、あえて今回取材した「壁のない老人ホーム」から中国における高齢化対策の取り組みについて考えてみると、問題解決のための正しい方向性、優先すべき点をしっかりと把握した上で具体的解決策を実行していくという中国の姿勢を強く感じるものだった。
高齢化対策を進める上で重要なポイントの一つは、お年寄りたちの心に寄り添うことだ。さまざまな理由から自宅で暮らすことが難しくなり、老人ホームに入居することになった高齢者が何を願っているかを考えた時、真っ先に挙げられるのは家族や住み慣れた土地から離れたくないという思いだろう。そのような不安を解消するものとして、一つの住宅街に一つの老人ホームを併設するという発想は大変有効であるに違いない。実際、取材した「壁のない老人ホーム」に入居しているお年寄りたちの表情は、あたかも自宅にいるかのごとく穏やかなものだった。
取材を受けてくれたご老人たちは皆、うちの家はすぐそこだと語っており、身近に家族が住んでいるケースも珍しくないようだった。一般的に老人ホームは孤独な高齢者が行き着く場所というネガティブな印象を持たれがちだが、「壁のない老人ホーム」には世間と隔離されている雰囲気は全くない。その言葉通り、地域でお年寄りを支えるためのオープンな場所として、大きな役割を果たしている。
高齢化は中日両国が直面している極めて大きな問題だ。しかし、中国と日本の状況を比較すると、日本の方がより深刻であることは疑いようのない事実である。
今回取材した老人ホームのある月壇街道は60歳以上のお年寄りが住民の3分の1を占め、北京でも特に高齢化が進んだエリアとのことだった。それに対し、日本はすでに2015年の時点で総人口の33.1%が60歳以上という超高齢社会に突入している。いわば日本は「先に豊かになり、先に老いた」というわけだが、そのぶん中国よりも高齢化対策が進んでいる部分もあれば、そうとも言い切れない部分もある。
確実に言えるのは、中国はまだ日本に比較すれば時間的猶予があり、また打つ手もある。何よりも中国は一度決めたことを何が何でもやり抜く実行力を持っているということだ。高齢化は富める国の多くが直面する問題である。中国の取り組みの中から世界が参考とすべきヒントが生まれることを期待したい。
「北京週報日本語版」2020年1月17日
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