重慶市江北匯博人材市場で16日、スーパーマーケット、ホテル・飲食、電子商取引の各業界に特化した就職説明会が開催された。会場ではある企業が、年俸100万元（1元は約16.5円）という条件で「ホテルドクター」を募集したことから、数多くの求職者の注目を集めた。だが、このポストは、報酬は高いと同時に、条件のハードルもかなり高いため、興味を示す求職者は多いものの、実際に履歴書を提出して応募する人は少なかったという。重慶晨報が伝えた。

〇初任給は30万元から 

募集した企業の担当者は、「いわゆる『ホテルドクター』とは、本物の医師ではなく、まったく新しい職業だ。国内の独立系ホテルにおいて、ホテルのサービス・予約システム・品質管理など各項目について評価を行い、ホテル側が経営面における問題を見つけ出すための手助けをすると同時に、解決のための適切な意見を出すというのが主な業務だ。この仕事は、従来の『試泊評価員』と『ホテル品質管理評価員』という2つのポストを合わせたものと言えよう」と話した。

同ポストの応募条件は、年齢30歳以上、学歴が大学院修士課程修了以上、ホテル業従事経験が5年以上となっている。採用予定人数は5人、年俸30万元以上。このうち、「チーフ・ホテルドクター」は、ホテル業で10年以上の経験かつ管理職経験があるという条件があり、その年俸は100万元以上という。

思わず誰もが興味を示すような求人広告に対して、専用ブースに座って具体的な問い合わせをする人はたびたび見受けられたが、最終的に履歴書を提出する人は多くない。段宏宇氏は、「この仕事内容を十分に理解すれば、年俸100万元は決して高すぎることはない」と指摘した。

この仕事は、全国を奔走する必要があり、宿泊者のふりをして「徹底的なチェックと評価」を行うというものだ。宿泊後1週間以内に詳細な「試泊レポート」を提出せねばならず、24時間休むことなく、ホテルにおける各セクションの各時間帯の経営状況を監視する必要があり、時間外勤務は日常茶飯のことだ。

このほか、この仕事をするためには、豊富なホテル業界での経験が必要となり、卓越したデータ分析力によって、ホテルが迅速に問題を解決するためのサポートをしなければならない。また、このポストでは、企業の事務システム運用ルール、供給チェーン・仕入システム、マーケティング・PRなどに関するプラットフォーム製品を熟知している必要があり、まさに「マルチ人材」が求められている。

段宏宇氏は、「年俸100万元は、弊社のチーフ・ホテルドクターに対する報酬で、認証システム部門全体を統括するトップ層の報酬に相当する。ホテル業でトップ層の年俸100万元というのは、同業界の平均レベルに過ぎない。一般的なホテルドクターについては、5年以上のホテル業界経験が求められるだけで、2ヶ月間の研修を経て、プラットフォームの認証システムを通じたホテルサービス業務を行い、年俸は30万元以上だ」とコメントした

〇高い技術力を求められる新しい職業 

重慶でマンパワー専門家として長い経歴を持つ石立平氏は、「ホテルドクターは、本質的に極めて技術性の高い新しい職業だ。この職業に就くためのハードルは非常に高い。さらに、市場の潜在性が極めて大きいことから、大きな発展の可能性を備えている」と指摘した。

ただし、同時に、一部の新興職業が軒並みマイノリティー化し、大規模産業を形成する可能性がほぼ皆無で、労働力の需要量・業務量ともにそれほど大きくない状況が明らかに見て取れる。現在、中国と世界はいずれも、技術変革と市場変革の大きなターニングポイントを迎えている。一部の成熟した既存の職業がだんだんと斜陽化し、新興職業が発展の兆しを見せている。だが、新卒生は、あまりよく考えずに簡単に応募することは控えた方が良い。目の前に提示された高報酬につられて、詳しい事情も分からずに仕事を始める前に、冷静になって熟考すべきだ。（編集KM）

「人民網日本語版」2017年2月17日