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【40代から始める日本人の中国生活の記録】中国の教育熱
本誌記者・植野友和  ·   2022-09-05  ·  ソース:北京週報
タグ: 教育;受験;中日交流
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さて、日本の場合、受験戦争とは一般的に大学入学までの話。大学生になったとたん、勉強から解放されてバイトやサークル活動にいそしんだり、はたまた学校をサボったりする学生が少なくなく、筆者もまさにそういうタイプだった。ところが、中国の大学生にとって入学は競争の終わりを意味しない。自分が中国の大学に留学した際、中国人の学生がほとんどバイトをしていないのに驚いたことがある。こちらでは学生は勉強に専念するのが当然という考えがあり、バイトをしない分ちゃんと勉強をしているのである。

そもそも中国で高学歴の人というと、大学院卒もしくは海外留学経験者というイメージが強く、実際に筆者が今勤めている会社の若者は修士以上が非常に多い。また、いい就職先に入ろうと思えば成績や能力、ボランティアやインターン経験なども重視される。いかなる進路を目指すにしても努力の積み重ねが必要であり、中国のキャンパスライフとは決して遊んで過ごす気楽な時間ではない。

自分が現役の頃、学内には真面目に勉強している学生よりも、出席日数ギリギリまでサボったり、バイトを掛け持ちして荒稼ぎしたりする人が多かった。日本で大学教員をしている知人に聞いた話だと最近の学生はちゃんとしているとのことだが、それでも中国の学生にはかなわないだろう。彼らは、親の期待を一身に背負っている自覚があると筆者には見えるのだ。

学費というのは基本、親が出してくれるものだが、それを「自分のお金ではないから大して惜しくない」と考えるか、「親が出してくれたものだから無駄にしてはいけない」と考えるか。中国の学生を見ていると、圧倒的に後者の思いを感じる。中国は豊かになったとはいえ、各家庭にとって教育費の負担は決して小さなものではない。もちろん子どもの留学費用をポンと出せる裕福な家もあるけれど、普通は両親共働きで生活を切り詰め、わが子に希望を託すようにして教育費を捻出するのである。特に40代である筆者より上の世代は、さまざまな理由で高等教育を受けられなかった人も多い。せめてわが子は大学に行かせてやりたいというのが親心で、中国の子どもはそのことを理解している。少なくとも日本に比べると、その傾向が強いように思われる。

むろん、厳しい受験戦争には子どもが受けるプレッシャーや重い学費負担など、さまざまな問題もある。それらを解決するために、中国政府はさまざまな措置を行っており、学習塾の非営利化やカリキュラムの改革などを大いに実行に移し、教育の機会均等化を着実に推進している。その効果がどう表れるかは今後に注目といったところだが、いずれにせよ中国の教育熱が冷めることはないだろう。

中国の古典『管子』に「一年之計莫如樹穀、十年之計莫如樹木、終身之計莫如樹人」(一年の計は穀を樹うるに如くはなく、十年の計は木を樹うるに如くはなく、終身の計は人を樹うるに如くはなし)という言葉がある。人を植える、つまり教育こそ国家百年の計であると説いているわけで、まさにこの格言通り教育への投資を惜しまない中国の人々の姿勢は、非常に尊い。このような教育にかける情熱がある限り、中国における発展の基礎が損なわれることはないだろう。

もっとも自分が中国で生まれていて、この厳しい競争についていけるかというと、全く自信はないのだが……。

「北京週報日本語版」2022年9月5日

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