だが現実は多面的だ。中米関係を観察する視線を少し広げ、遠くに向けてみれば、両国は依然共通利益が溝を上回り、協力が主流であることに気づく。どれほど不愉快な出来事が起きようと、溝が出現しようと、両国は常に共通利益の拡大、溝の管理・コントロールを図っている。両国は首脳その他上層部が頻繁に接触し、中米アジア協議を含む90余りの対話・協力制度の圧倒的多数を平穏に運用しており、両軍は新たな信頼醸成措置でも合意した。王毅外交部長(外相)はケリー国務長官との会談で、中米が互恵協力を推し進め、調整・連携を強化できる分野は少なくとも15もあると指摘。二国間投資協定、両軍の信頼醸成措置、気候変動対策、金融、経済・貿易、エネルギー、逃亡犯逮捕・不法取得資産没収、司法、公衆衛生、開発分野の協力や、朝鮮やイランの核開発、中東、テロ対策、アフガニスタンなどの問題での調整・連携を挙げた。
アジア太平洋地域での中米の良好な相互作用には、すでに成功した「過去形」もあれば、多くの「進行形」もあり、潜在力に満ちた「未来形」もある。中米の利益が最も密集して交錯し、相互作用が最も頻繁な地域であるアジア太平洋は、中米にとって新型の大国関係の構築を模索する核心的な「試行地区」であり、しかも成功しか許されず、失敗の代償はどの国にも負えないものとなる。良好な相互作用を実現するうえで鍵となるのは、相互尊重、協力・ウィンウィンの理念を堅持することだ。王部長は「中国は米国をアジアから締め出す考えはなく、米国がアジア太平洋で積極的な役割を発揮することを望んでいる」と重ねて表明。ケリー長官は「米側は強大で繁栄する中国を支持する。アジア太平洋地域で中国との対立を図ったことはない」と表明した。こうした発言は積極的なものだ。戦略面で相互疑念があるため、双方はいずれも「言葉を聞くだけでなく、行動を見る」姿勢をとるだろう。当然両国はその段階に留まるのではなく、積極的で良好な相互作用を必要とする。王部長が述べたように、中米双方にとってより重要なのは、戦略面の相互信頼とアジア太平洋地域での良好な相互作用という二大課題をさらにしっかりと解決することだ。
したがって、現在問題は「中米はアジア太平洋でより多くの良好な相互作用を実現できるのか?」に変わった。願望に行動が加われば、願望と現実との距離を縮め、最終的に信頼を深め、疑念を解いて、「トゥキディデスの罠」を回避できる。(編集NA)
「人民網日本語版」2015年8月7日