習近平国家主席は今年9月、オバマ大統領の招きで米国を公式訪問する。ある分析は、2013年の米国カリフォルニア州の農園での会談と昨年の中南海での会談に続く今回の中米元首交流によって、両国の協力拡大、相互信頼増進、相違点調整が進み、中米の新たな大国関係はより多くの実質的成果を上げられるようになるだろうと指摘している。
さらに注目されるのは、今後の中米関係発展に関わる協力について、両国首脳がどのような新議題を話し合うかということだ。これより前、中米両国は「新シルクロード」構築に関する提案や構想を提起しており、「新シルクロード」協力は今後中米協力の新たな議題となる可能性がある。
合致点多い中米「新シルクロード」
習近平主席は2013年の外国訪問中に「一帯一路」(「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海のシルクロード」)構想を打ち出し、それを国家戦略に引き上げた。現在、中国は「一帯一路」構築の推進に大いに力を入れている。偶然なことに、2011年7月、ヒラリー・クリントン米国務長官(当時)も「新シルクロード」計画を提起していた。
米国の「新シルクロード」計画の目標は非常に明確だ。すなわち、米国はアフガニスタン駐留軍を全面撤退させた後、アフガニスタンを中央アジア地域経済に組み入れ、その潜在力を発揮させようとしたのである。その主旨はアフガニスタンを地政学的戦略の要とし、南アジア、中央アジア、西アジアを効果的に結んで、エネルギーの南下と商品の北上を実現し、援助から貿易へと戦略を調整することであった。アフガニスタン国内情勢が不穏だったためと、さらにはクリントンの離任もあって、この計画は棚上げされ、米国上層部に重視されることはなかった。しかし中米が連携してアフガニスタンの国内和平交渉を促進するようになると、双方の間に「新シルクロード」構築推進の上で再び協力の機会が生まれた。
戦略構想的に見ると、中国の「一帯一路」は米国の「新シルクロード」計画を完全に網羅することができる。同時に、両者は協力理念、既定目標、実現方式、直面する試練などの面でもきわめて合致しており、相通じるところが多い。
まず、両者は相通じる協力理念を持っている。どちらも開放的地域協力という基本原則にしたがって、世界の自由貿易と開放経済を守ろうとしている。次に、既定目標がほぼ一致している。どちらも地域内部間の経済貿易を推進し、さらには地域内の資源統合を推進し、地域内諸国の優位性相互補完を実現し、当該地域の安全、安定、平和を促進しようとしている。さらに、実現方式がほぼ同じである。どちらも当該地域のインフラ建設推進、貿易投資環境改善、取引コスト低減を実現方法としている。最後に、共通の試練に直面している。厳しい安全保障情勢、未整備なインフラ、不安定な社会といった問題が、両国が直面する現実的課題だ。