新疆ウイグル自治区は、中国の５つの少数民族自治区の１つで、漢族、ウイグル族、カザフ族、回族、蒙古族、キルギス族、シボ族、タジク族、ウズベク族、満州族、ダウール族、タタール族、ロシア族など４７の民族の人々が居住している。新疆の各地区、各民族は豊かな文化を持ち、さまざまな文化形態があり、民間の文化芸術が多彩多様である。新疆ウイグル自治区成立６０周年にあたる今年、新疆各地を現地取材した本誌記者は、各民族が固有の文化の特色と生活様式を守りながら他の民族と睦まじく共存している様子を目にした。

新疆の各民族の豊富で多彩な文化ははっきりとした地域性と民族的特徴を持っており、中華文化の発展に独自の貢献をした。新疆は歴史においてユーラシア大陸の交通と文明の通路であり、古代の東西文明をつなぐ「シルクロード」はここを経由した。独特の地理的位置に恵まれたため、新疆の歴史的発展は多くの民族とさまざまな文化の共存という際立った特徴を示している。新疆の各民族の伝統は、各民族の文化や民俗という形で目にすることができる。

２００３年初めに民族民間文化遺産保護プロジェクトが全面的にスタートして以来、中央から地方までの各級政府は新疆の各民族の伝統文化保護の面において多くの活動を行ってきた。国は各少数民族の文化遺産に対し計画的かつ組織的な収集、整理、編集・翻訳、出版を行い、各民族の名所旧跡、貴重な文化伝統、その他の重要な歴史文化遺跡などを保護し、「政府の主導、学術界のサポート、社会の参与」という全面的な保護の仕組みが出来上がり、各民族の優秀な文化遺産が伝承されるようになっている。

消滅の危機に瀕していたウイグル族の大型音楽組曲「十二木卡姆（ムカーム）」は、中華人民共和国成立前に伝承していたのはわずか２、３人の高齢の演奏者だけだった。建国後、新疆ムカーム芸術団やムカーム研究室が設立され、広く継承と普及が行われた。ムカームは「中国民族民間文化保護プロジェクト」の最初の試行項目の１つに指定され、２００５年、ユネスコの「人類の口承および無形遺産に関する傑作代表リスト」に登録された。古代シルクロードの要衝だったカシュガルは地震多発地域にあり、損傷が激しかった。２００９年２月、国はカシュガル旧市街地改造の総合整備計画を実施し、３０億元を投じ、歴史文化都市としての要求に基づいて保護を目的とした修繕を行った。

各民族の文化芸術は、伝統を継承した上で、新たな発展も遂げている。ウイグル族の「麦西来甫」（歌と踊りからなる民間芸能）、カザフ族の「阿依特斯」（民族楽器ドンブラの弾き語り）、キルギス族の「庫姆孜琴（少数民族の民間楽器）弾き語り会」、蒙古族の「ナダム大会」、シボ族の「西遷祭」(清代に国境警備のために新疆地区へ移住したことを祭る)、漢族の「元宵灯会」（旧暦１月１５日の元宵節に行われるちょうちん祭り）など、民族芸能や伝統行事が広く行われている。それ以外にも、現代的な要素を取り入れつつ濃厚な民族と地域の特色を持つ優れた演目が相次いで上演されている。

各少数民族の言語を時代の発展に合わせるために、国は「新疆ウイグル自治区民族言語文字工作委員会」と各クラスの民族言語文字研究機構を設置し、少数民族の言語文字の規範化、基準化、科学化の研究と管理に努めている。政府のサポートの下で、「博格達（ボゴダ）ウイグル語・カザフ語・キルギス語組版（ＤＴＰ）システム」、「シボ語、満州語の文字処理と軽印刷システム」、多言語画像文字組版システムである「新疆２０００」、「アラビア語および多言語組版システム」などのソフトがすでに開発され、各種民族文字ソフトのコード、キーボードのレイアウト、入力法などが規範化された。

中国の各級政府は全力をあげて新疆の各民族の文化の伝統を保護し、それをさらに発展させることで、各民族の文化遺産を世界の新疆理解のための架け橋にしようとている。それは同時に、「新疆独立」分子が現地の少数民族文化の発展を歪曲、誹謗、中傷するさまざまな行為に対する力強い反撃にもなっている。

「北京週報日本語版」2015年9月14日