一方で、中国でもいわゆる「手帳文化」が若者を中心に高い人気を誇っている。当初は手帳そのものよりも手帳をデコレーションするためのマスキングテープやシール、各種ペンといった周辺アイテムが注目を集めていたが、次第に手帳そのものの使い勝手の良さなども追求されるようになってきている。しかし、中国における「手帳」は小ぶりのスケッチブックやノートなども全て含まれており、スケジュール帳をベースに、イラストやデコレーションをして、日記代わりに使用する日本と異なり、日記からスケッチ、レシピ、旅行記といったようにその使い方も様々。これらを「ノートに記録する」ことを「手帳文化」と呼んでいる。
このようにカレンダーにしても、手帳にしても、同じような商品にも関わらず、その使い方や求めるものが中国と日本では少し異なっている点は面白い。そして、今やスマホ一つでスケジュールから日記のような記録、果ては写真や動画による記録も手軽になっているにも関わらず、敢えて日めくりカレンダーを購入し、紙とペンを使って記録することを選んでいる中国の若者たちは、スピーディな世の中の流れや新しいものが溢れる中で、自分や自分の暮らしぶりといった身近なものに目を向けようとしているのかもしれない(文・イラスト・玄番登史江、袁蒙)。
「人民網日本語版」2020年12月25日