中文 | English | Français | Deutsch
 
 
ホーム 政治 経済 社会 中日交流 文化 文献 特集
ホーム >> 中日交流 >> 本文
  • descriptiondescription
吉田修一氏―リメイク作品にも携わり、作品を守る堅い意思を持つ作家
  ·   2017-01-16  ·  ソース:
タグ: 日本;映画;中日交流
印刷

日本の映画・テレビ界において、吉田修一氏は、東野圭吾氏とほぼ同じくらい絶大な著作権を持つ作家として知られている。彼の小説がリメイクされスクリーンに登場する割合はとび抜けて高く、ほぼ全てのリメイクされた作品が好評を博している。ほとんどの中国人読者は、吉田氏に対し、彼の著書がきっかけではなく、妻夫木聡主演の「悪人」や高良健吾の「横道世之介」、あるいは「さよなら渓谷」、「パレード」、「女たちは二度游ぶ」などの映画作品を通じて興味を抱くようになったという。(文:陳煕涵。文匯報掲載)

○「作品と心中」するように映画化に参加したい

日本では、推理小説は漫画と同様、通俗文化全体にとって欠かせない要素だ。日本の推理作家は非常に多く、彼らの推理小説をリメイクして映画化した作品は、毎年、映画界全体の最も大きな部分を占めている。ここ数年を見ても、「ソロモンの偽証」や「私の男」が「キネマ旬報ベスト・テン」に選出されている。また、相前後して公開された東野圭吾原作「天空の蜂」や伊坂幸太郎原作「グラスホッパー」も、名監督と名キャストが組み、製作された。さらに、吉田修一氏の最新長編小説「怒り」も、同名で映画化された。日本でのリメイク作品および二次創作が基本的にかなり高いレベルを維持していることは、注目すべき事実である。

吉田氏のように日本文学界で最高の栄誉である芥川賞を受賞した名作家は、リメイク映画化の権利を自身が好きな監督に譲渡すればそれでいい。完成した作品が期待以下のものになったとしても、原作の著者とは何の関係もない。だが、吉田氏は自分の作品のリメイクについて、意外にも強い執着心を持っている。彼は、「小説が出版されるたびに、さまざまな監督からリメイクしたいという申し出を受ける。自分自身は映画が大好きなので、自分が気に入った監督を選ぶ。」と話している。6年前に公開された映画「悪人」は、吉田氏が李相日監督と協力して脚本を完成させた。当時、吉田氏は、「私は脚本を担当して映画製作に参加したい」とストレートに話した。彼は、「『悪人』が映画という形で人々の前に登場するのならば、私は映画製作全体に関わりたいと思った。このような気持ちは、『作品と一緒に心中したい』という感覚に似ている」と表現した。

日本の小説映画化はなぜこれほど完成度の高いものとなっているのだろう?吉田氏の言葉に、その答えの一端が隠されている。監督の選考から自らの手で脚本を書くことに至るまで、映画化の成功は原作者の参与度と大いに関係があるというのだ。

某メディアの報道によると、李相日監督が日本のメディアに対し、吉田氏とともに脚本作りを進めた時のことを回想しながら、「我々2人は、みんなが良く遊ぶキャッチボールのように意思疎通しながら仕事した。だが、このキャッチボールは本当に長い間続いた」と話した。

吉田氏は映画の脚本を作る過程で、自分は小説の原作者ではあるが、映画作りについては全くの素人であることがだんだんとわかってきたという。「悪人」の脚本作りは、本当に苦労と困難の連続だったが、吉田氏はそれから多くの事を学んだという。当時、李監督から、「まだ心の奥底までは書かれていない」と指摘された時、吉田氏は、自分の心情と完全に一致する脚本ができあがるまでただやり続けるしかなかった。2010年に完成した「悪人」は、一般公開に先駆け、同年のモントリオール世界映画祭で最優秀主演女優賞を受賞した。また、同年、日本国内の映画祭でも数々の賞を受賞、興行収入もかなりの成績を収めた。

○作家は「名前を売るか、それとも作品を売るか」、それが問題だ

「リメイク作品は決して万能ではない。リメイク作品には、『商品であるが作品ではない』という限界がある。たとえ原作者が名作家であっても、それだけで100%の成功を保証できない。だから、常に戦々恐々とし続け、さらに上を目指すしかない」と話す吉田氏は、一作家として、映画・TV界においてリメイク作品は万能選手ではないと釘を刺した。

リメイク作品は数年前から人気が出始め、その隆盛ぶりは現在でもいっそう高まっている。ハリウッドでは、「アイアンマン」、「キャプテン・アメリカ」、「超人ハルク」などのコミック原作のヒーロー作品がロングシリーズになっている。中国では、リメイクドラマはありとあらゆるものを網羅しており、時代劇、現代劇、職場、仙侠(仙人もの)、侠客(任侠もの)などのさまざまなジャンルがある上、投入資金も巨額で、有名俳優を起用している。だが、これらの豪華作品の背後で、我々は原作者について何も知らないということは、避けられない事実である。

12次のページへ
シェア:
リンク  

このウェブサイトの著作権は北京週報社にあります。掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。


住所 中国北京市百万荘大街24号 北京週報日本語部 電 話 (8610) 68996230
  京ICP备08005356号-4 京公网安备110102005860

中国語辞書: