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◇NHKのラジオ講座が面白い◇
~中国文化理解し、関係改善の契機にも~
斎藤文男(元・南京大学日本語学部専家)  ·   2015-12-01  ·  ソース:北京週報
タグ: 日中関係;中国語;中日交流
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中国・南京から日本に戻って2年間余りが過ぎた。年月とともに南京時代を懐かしく思い出している。中秋節と私の誕生日が重なった日に、学生がレストランで火鍋を囲んで私の誕生日を祝ってくれた。卒業の謝恩会では、作文の授業から生まれて作った「こんにちはとニイハオ」を、私が吹くハーモニカの伴奏でみんなが歌ってくれた。同僚の先生方や友人と食べた料理やしゃぶしゃぶの味も忘れられない。これらが走馬灯のように蘇ってくる。

日本では中国語に触れる機会もあまりない。中国語を忘れないことと、懐かしさを紛らわそうとNHKラジオの中国語講座を聴いている。今年10月号から新しくスタートした「レベルアップ中国語」が、これまでにない内容で充実しているのに驚いた。毎日(月曜~金曜)午前10時30分からの15分間、非常に面白く楽しみながら聴いている。講師は加藤徹・明治大学教授。北京市出身で京劇俳優の魯大鳴(ろ・だいめい)明治大学講師と、同市出身の早稲田大学、津田塾大学の李洵(り・じゅん)非常勤講師の3人で講座を進めている。

講座のテキストは中国語を学んだ日本人女性が、中国のビジネス界に飛び込んで奮闘する「サスペンスタッチのドラマ」となっている。毎回「つかみの中国語」として、宋時代から使われている文語文の決まり文句や、日本語のかけ言葉のような歇後語(けつごご)=卵の中に骨を探す→粗探し=の後半を略し、前半だけで全体の意味を表す言葉などが、ドラマの中に必ず一つ入っている。毎週金曜日には「相手と打ち解ける中国語」として、京劇のセリフや北京の昔の物売りの声、日本人が作った漢詩などとてもユニークな内容だ。

◇京劇俳優が日本人の漢詩を朗誦◇

11月号テキストの「相手と打ち解ける中国語」の中に、日中友好の漢詩として奈良時代の貴族・長屋王(ながやおう=684年~729年)の四言詩があった。このころの日中関係は互いに相手を思い合い、良好な関係だったことを思い出してもらうためにも、以下に紹介したい。

山川異域 風月同天

寄諸仏子 共結来縁

山川域(さんせんいき)を異(こと)にすれども 風月(ふうげつ)天(てん)を同(おな)じうす

諸(これ)を仏子(ぶっし)に寄(よ)す 共(とも)に来(らい)縁(えん)を結(むす)ばん

遣唐使の時代、仏教を尊崇していた長屋王は、千の袈裟を作って中国の僧侶に贈った。袈裟には金糸でこの16文字が刺繍されていた。意味は「私たちが生まれた国土は違いますが、天空を吹く風や、月には国境はありません。この袈裟を、仏教を学ぶみなさまにお贈りします。ともに永遠の縁を結ぼうではありませんか」というものです(NHKラジオ講座「レベルアップ中国語」47頁から)

中国語の講座なので、これを魯大鳴さんが現代中国語の発音で朗々と朗誦(ろうしょう)し、李洵さんが正確な四声と発音で朗読の見本を示してくれた。鑑真(688年~763年)は後にこの詩に感動して来日を決意する契機にもなったといわれる。日本で漢詩を読む場合はほとんどが訓読で読み下しているが、中国語で朗誦、朗読すると押韻の響きなどよくもわかり、より深く味わうことができる。

以前、NHKラジオ「漢詩を読む」の講座で石川忠久氏が現代中国語で朗読していたが、魯大鳴さんの朗誦は京劇の俳優だけあって、感情がよく表現され、1000年以上も前に作った作者の思いを十分に感じることができた。

◇中国人がどきりとする日本語クイズも◇

現在の日中関係は、10月に発表された日中民間の共同世論調査によると、相互の国に対する印象は昨年より少し好転している。それでも日本人は88.8%(前年は93.0%)が中国に対して「よくない」(どちらかといえばよくないを含む)印象を持っている。中国人も日本に対しては78.3%(同86.8%)が「よくない」(同)印象を持っていた。昨年より3.8ポインから10.1ポイン双方で減少し、印象はやや好転しているものの、8、9割近くの人たちが相手の国に対して悪い印象を持っているのは正常ではない。1000年ほど前、日中間は互いに相手の国を敬い漢詩などを通じて良好な文化交流があった。しかし近年になり、日本はもとより、中国の大学で日本語を専門に学んでいる中国人学生でも、自国の漢詩にあまり関心がなくなっているようだ。私の授業で中国の漢詩を教材にして、中国語で朗読した後、日本語で訓読をしたが学生はあまり興味を示さなかった。

NHKの「レベルアップ中国語」の講座12月号では、日本語と中国語で意味が変わる漢字語、中国人がどきりとする日本語などクイズとなぞなそがある。京劇道化役のセリフやだじゃれを含めた小話などのユーモアも取り上げている。中国語を学びながら中国の文化に対する関心が高くなり相互理解が深まれば、1000年余前の相互の絆を呼び戻し、悪化している日中関係の鎖を解きほぐす契機になることを期待したい。

「北京週報日本語版」2015年12月1日

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