日本の東京電力はこのほど、福島第一原子力発電所から出た放射能汚染水の海洋放出施設の建設工事を正式にスタートした。これにより日本の放射能汚染水の海洋放出計画がまた一歩前進したことになる。新華社が伝えた。

アナリストの指摘によると、日本政府は私利私欲により、日本内外の反対を顧みず、2023年春から長期にわたり放射能汚染水を太平洋に放出する計画を断行しようとしており、これは極めて身勝手な行為だ。

放射能汚染水の処理をどうするか検討し始めた当初、日本の経済産業省が立ち上げた専門家チームは5つのプランを提起した。日本側は薄めて海に流す海洋放出と蒸発させる大気放出が「最も実際的な解決方法」であるとし、最終的に「時間が最も短く、費用も最もかからない」海洋放出プランを選択し、世界中にリスクを転嫁しようとした。

福島原発の放射能汚染水にはセシウム、ストロンチウム、トリチウムなど複数種類の放射性物質が含まれている。日本政府と東電は、トリチウムを除くセシウムなど62核種の放射性物質を除去するとしており、トリチウムは水から分離することが難しい。東電の見方では、原発から通常排出される排水の中にもトリチウムは含まれているので、トリチウムを含む放射能汚染水を排出しても差し支えないという。

専門家は、「東電は概念を混乱させようとしており、原発が正常に稼働する時に排出された国際基準に合致した排水と福島第一原発で炉心が溶融して生じた成分の複雑な放射能汚染水を一緒くたにしている」と指摘した。

韓国の環境保護NGO「環境運動連合」は、「東電は海洋排出前にトリチウム以外の62核種の放射性物質を除去できるとしているが、これは絶対に事実や真相とは異なる。海水は一度汚染されると、元に戻るのは難しい」ととの見方を示した。

福島原発の事故が発生した当初に炉心溶融の事実を隠したこと、それからの10数年間に各種の虚偽の報告や報告漏れのためたびたび謝罪に追い込まれたことを考えると、東電の信用上の問題は枚挙にいとまがなく、「原子力をめぐる信用」はとっくに破綻していると言える。

日本政府と東電が放射能汚染水の海洋排出を断行しようとしていることに対し、日本国内と周辺国から強い反対の声が上がった。

国際環境NGO「グリーンピース」のソウル事務所は、「放射能汚染水の危険性は十分に明らかであり、長期貯蔵など代替プランがいろいろある状況の中、日本政府が海洋放出を決めたことは国際社会が一致して認識する事前の予防措置などといった処理の原則に違反している」との見方を示した。（編集KS）

「人民網日本語版」2022年8月10日