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日本も苦しんだ米「301条調査」は中国に有効か
  ·   2017-08-28  ·  ソース:
タグ: 米国;301条調査;経済
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だが今日の世界経済システムの複雑さは80年代をはるかに上回る。中国は製造業供給チェーンの中で重要な位置を占め、米国が中国に対して一連の貿易上の「武器」を使用した場合、「1千の敵を打ち破るのに、800の味方を失う」ような事態を招くことが多い。

鉄鋼産業の場合、トランプ大統領の当選は米鉄鋼産業の力強い支持を受けてのことで、政府高官には鉄鋼産業の出身者や利害関係者が多い。トランプ大統領は就任すると輸入鉄鋼に高額の関税をかけるよう再三圧力を与えてきたが、いまだに実現していない。主な原因の1つは米国における鉄鋼産業の従業員は15万人足らずだが、鉄鋼を原材料とする自動車産業や建築産業などの川下産業の従業員は1200万人を超えることだ。輸入鉄鋼に高額の関税をかければ川下産業のコストを増大させ、世界市場での競争力を低下させることになる。  

米国はすでに中国産鉄鋼製品に関税を課しており、現在の米国市場に輸入される鉄鋼は中国の鉄鋼に駆逐されて米国市場に流れてきた日本、韓国、欧州の鉄鋼だ。よってトランプ大統領の選挙公約である鉄鋼への関税課税は米国の盟友たちの利益を損なう結果しかもたらさないといえる。

現在、中国の対米輸出商品は引き続き中級・低級の消費財、部品、半製品が中心だ。米国がこうした製品に対して貿易制裁措置を打ち出しても、関連の製造が米国に移転するとは限らず、より可能性が高いのは中国以外の発展途上国に移転するというケースだ。また米国企業の最終製品のコストを引き上げ、他国の製品との競争で劣勢に追いやられることになる。ここが80年代に展開された自動車やコンピューターなどの工業製品をめぐる日米の競争や貿易摩擦と明らかに異なる点だ。

米国はこのことをよくわかっている。そこで今回発動した貿易調査では鉄鋼産業などの劣勢にある自国産業を保護するだけでなく、米国の優位性が高い産業を威圧する中国の産業のバージョンアップに打撃を与えるのが狙いだ。これは今回の貿易調査で中国の「技術移転、知的財産権、革新の各分野」を調査する理由でもある。

実際、80年代の米国は日本への301条貿易調査でもこの手を使った。当時の日本は一部の半導体産業で相当な優位性を占めて、強大な宇宙航空衛星通信産業を構築しようと考えていた。だが89年と90年の日米貿易交渉において、米国はさまざまな理由により日本に独自の人工衛星プロジェクトを取りやめるよう強要し、生まれたばかりの日本の宇宙航空産業を抹殺した。こうして日本はその後30年にわたるチップやネットワークや宇宙航空通信の分野での飛躍的発展という貴重なチャンスを逃すことになった。今や、最後まで競争力を残していた東芝のチップ事業さえ生きながらえることが難しくなっている。

今回の米国の中国に対する知的財産権を中核とした貿易調査は、中国の産業バージョンアップ政策が実施されるタイミングに重なる。米国は自国の伝統的製造業や中間層・下層の雇用を保護するためというより、中国がチップ、通信、ロボットなどのハイテク製造分野に進出するペースを遅らせるため、中米間の生産力の格差を維持し、あわよくば拡大しようとするたくらみのために貿易調査を打ち出したといえる。

だが米国のこうした貿易制裁措の圧力や措置は、中国が産業バージョンアップと自国のハイテク産業チェーン発展の必要に迫られていることをありありと物語るものでもある。今回の301条貿易調査が中国にもたらす最も重要な問題は、中国のハイテク製造業とハイテク産業が十分な成長の可能性を得て順調に発展できるかどうかであり、これは国の競争力の核心のありかでもある。

20世紀の米国は貿易政策による圧力やその他の手段を通じ、日本に未来の方向性を決定づけるハイテク産業において米国と競争しないよう迫り、日本はほぼ完全に90年頃から現在に至るハイテクの波に乗り損ねた。

現在、中国が科学技術産業の発展を1種のサーキットとみなすなら、モデル転換の重要な時期にある中国は米国がサーキットに置いたさまざまな障害に直面することになる。中国が先を行く米国との距離を縮められるかどうか、カーブで追い越せるかどうかは、今回の中国と米国との競り合いの中で決まることになる。(編集KS)

「人民網日本語版」2017年8月28日

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