流行語ばかり使っていると「語彙力不足」に？

誕生する流行語の数と移り変わりの速さから見れば、新しい流行語がどんどん登場することで、言語の発展に新たな側面が加えられていると言えるだろう。しかし、そこには、「万能」で「トレンディ」なネット流行語によって、正確でより生き生きと意味を伝える「高度な」言葉が取って代わられ、少しずつ脇に追いやられ、忘れ去られてしまうという弊害がある。多くのネットユーザーたちも、「ネットサーフィンをずっとしていると、素晴らしい人や事を目にしても、それをうまく形容するぴったりのいい言葉がすぐに浮かばなくなってしまった」と反省するようになっている。そのため、流行語ばかりに注目して使っていると、少なからず「語彙力不足」になってしまうと言えるだろう。

しかし、もっと長い目でこの問題を見ればそれほど心配する必要はないという意見もある。徐准教授は、「生態環境と同じで、言葉も『新陳代謝』の能力を持っている。ネットユーザーが新鮮味を感じなくなって行き場を失った流行語は、最終的には姿を消すだろう。そして、ネットユーザーが新しい言葉をつくり出す時にも、従来の言葉の組み合わせの中から、より生き生きとした、イメージしやすい表現を生み出すようになっている。例えば、教師が重要なポイントを強調する時にする『敲黒板』（黒板をたたく）という動作がもとになって、若者たちがそれを『ポイントを強調する』という意味で使うようになった」と説明する。

華東師範大学中国語学部の倪文尖准教授は、ネット用語の使用を制限しすぎることに反対の姿勢を示し、「規範というのはブレイクスルーのためにあるもの。生き生きとした現代中国語が生まれることのほうをより期待している」との見方を示している。（編集KN）

「人民網日本語版」2021年8月20日