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貴重な資料の散逸を心配して、37年ぶりに会見に臨んだ村上春樹氏
  ·   2018-11-12  ·  ソース:北京週報
タグ: 村上春樹;早稲田大学;文化
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 公の場に登場することが少ない日本の有名作家、村上春樹氏がこのほど記者会見を行い、自筆の原稿や書簡、レコードなどの所蔵資料を母校の早稲田大学に寄贈すると発表した。村上氏が国内で会見に臨んだのは37年ぶりだ。村上氏にとって、早稲田大学への寄贈が「一番妥当だ」という。 北京青年報が伝えた。

「子供がいないので散逸するのも困る」 

寄贈するのは原稿や書簡、蔵書のほか、自身の作品に関する書評や2万点近くに上るレコードのコレクションなどという。うち、最も注目を集めているのが代表作でもある「ノルウェイの森」を執筆した際の大学ノートなどだ。資料の寄贈を思い立った理由について、村上氏は、「40年近く小説家として書いてきて資料がたまり、うちと事務所におききれなくなってきた。僕には子どもがいないので、僕がいなくなったあとに散逸するのも困るなと思っていた。いろんな行き先を検討したが、やっぱり早稲田大学は僕の母校だし、そういう意味ではいちばんの落ち着きどころかなと思った。外国も考えてはみたが、やっぱり日本でやるのがいちばん妥当だと思った」と説明した。

村上氏は1968年4月に早稲田大学第一文学部に入学、映画演劇科へ進んだ。そして、休学を経て、75年に卒業した。記者会見では在学中について、「あんまり授業には出ませんでしたが、(早大構内にある)演劇博物館にはよく通い、古いシナリオをずっと読んでいた」としながらも、その時の経験が「小説家になった時に少しは役立った」と話した。また、村上氏は早稲田大学で妻となった陽子氏に出会ったため、同大学は村上氏にとってとても思い入れのある場所だ。

研究者向けの奨学金制度設置が目標 

早稲田大学の鎌田薰総長によると、寄贈は来年度から段階的に始め、関係施設の設立も進める。例えば、国際的研究センター「村上ライブラリー(仮称)」のほか、蔵書やレコードを陳列する専用スペースなどを設置する計画だ。

鎌田総長は、「様々な国との文化交流を促進し、世界中の村上ファン、村上文学研究者が必ず訪れるべき研究拠点を設けたいと考えている」と語った。慶応義塾大学の巽孝之・米国文学教授は、「今や欧米でもアジアでも、村上春樹作品を巡る国際会議が複数開かれている。世界各国に博士論文で村上論を書く研究者が少なくない中、 研究に資する拠点が設立されることは意義深い」との見方を示している。

村上氏自身も、「(国際的研究センターが)、日本人でも外国人でも、僕の作品を研究したいという人々の役に立つとすれば、それに勝る喜びはない。僕の作品に限らず、お互いの国の文化交流の一つのきっかけになる場所になればと思っている」と語っている。さらに、「ほかの作家の人と儀礼的にやり取りをした書簡とかも、相手に迷惑がかからなければ寄贈したい。そして、研究者向けのスカラシップ(奨学金制度)も立ち上げることができたら言うことはない」と今後の構想について話した。

早朝に音楽を聴きながら執筆 

作家であるほか、村上氏は音楽も大好きで、早稲田大学在学中にはジャズ喫茶も経営していた。そんな村上氏は、「影響があるのかは知らないけど、僕は朝4時か4時半くらいに起きて仕事するが、前の晩からレコードを出しておく。それを聞きながら仕事をしている。それは楽しみだ」と話し、2万点近くに上るレコードのコレクションの寄贈について、「僕の集めたレコードとかをストックした書斎みたいな機能を持つスペースも設けることができればと思っている。そこで例えばレコードコンサートを開くとか、そういうことができればいいと思う」と話した。(編集KN)

「人民網日本語版」2018年11月9日

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