最近ネットで、日本を訪れた多くの中国人観光客がトイレの便座や電子炊飯器、ドライヤー、包丁などの生活用品を買いあさっているという文章が大きな話題となっている。中には、わざわざ外国にまで行って、こんなものを買うなんて、中国製品の面目は丸つぶれだと驚きや嘆きの声をあげる人々もいる。一方、中国製品を馬鹿にしてはいけない。これは、中国消費者が盲目的に海外ブランドを追い求める心理状況によるものだという意見も見られる。個人的には、この奇妙な現象の裏には、恐らく別の深い要因があるのではないかと考えている。人民日報が伝えた。
当然、中国にもこういった生活用品は販売されている。では、なぜ日本にまで行って買うのか?この便座は普通の便座ではない。温水洗浄や便座が瞬時に温まる機能を備えた抗菌仕様の先進的な便座だ。炊飯器も独特の素材と技術を使ったもので、これで炊いたご飯はまるで水晶のようで、釜にこびりついたりしない。ドライヤーはナノテクノロジーが使用され、髪をつややかに潤す。セラミック包丁は通常の素材の包丁に比べて60倍の耐久性を持つ。こういった事実から、現在の一部の中国消費者の需要がよりアップグレードしていることが見て取れる。これらの層は、「使える」という普通のレベルの商品には満足しない。「便利」で「耐久性に富んだ」商品を求めており、さらにそれらの商品がもたらす付加価値を「楽しんでいる」のだ。
現在、中国は模倣型・画一的な消費段階を基本的に終え、個性・多様化した消費が主流になりつつある。日本で生活用品を買いあさる中国人は決して少数派の富裕層ではない。むしろ日増しに拡大している中所得者層である。便座を買いあさる現象はまさにこれらの人々の消費ニーズが国内の商品では満たせなくなったことを示している。さらに、供給する側から見ると、中国はすでに商品供給不足の時代を終えている。また総量から見ると、一部の伝統産業の供給能力は需要を大幅に上回っている。多層的な消費者、特に中・高所得者層の需要を引き出し、それを満足させるには、供給の革新が必要だ。世界には斜陽産業は存在しない。あるのは、斜陽企業だけだ。技術と理念を革新させることができなければ、時代の流れに追い付けず、製品も衰退していくだろう。供給の革新は国内の消費者の需要のアップグレードを満たすだけでなく、経済の成長を牽引し、モデルチェンジ・アップグレードを促進させることにつながる。
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