中国国際戦略研究基金会対外政策研究センターの張沱生主任は「山口氏は『係争が存在する』といった言葉を直接用いてはいないが、釣魚島をめぐって日中間に『溝が存在する』のは確かだと指摘した。これは実務的姿勢で紛争を解決する意向をある程度示すものだし、『次の世代に解決をゆだねる』は、わが国の前の代の指導者の見解と事実上一致するものだ」と指摘した。
不測の事態を回避する方法について、山口氏は「双方は危機管理を強化すべきだ。今回の訪問を契機に、政治レベルで合意できることを期待する。連絡体制には海上だけでなく、空中も含まれるべきだ」と述べた。
張氏は「艦艇や航空機の対峙する状況が増えるに伴い、釣魚島で中日間に衝突が起きる危険性が最近高まっている。一方、双方共に戦争手段では問題を解決できないことを理解している」と指摘した。
公明党は日本第4の政党で、1964年に結党。現在衆院で31議席、参院で19議席を擁し、日本の政界における重要な勢力だ。公明党は長年対中関係を重視し、中国と頻繁に交流しており、歴史問題で正しい立場を堅持し、かつて中日国交正常化に重要な貢献を果たした。山口氏は以前、中日関係が順調に発展しなくなった時にも訪中した。2010年の中日「船舶衝突事件」時には、野党党首として訪中し、中国の指導者と会談した。
清華大学現代国際関係研究院の劉江永副院長は「山口氏の今回の訪中は公明党の一貫した姿勢を示すもので、中日間で一定の橋渡しの役割を発揮できるはずだ」と指摘した。
現在確認できる情報によると、山口氏は北京に数日間滞在する。具体的日程は不明だが、どのような日程であれ、山口氏が「使者」としてどのようなレベルで日本の将来の政策策定に影響を与えられるか、どのようなリスク管理策を打ち出せるかにかかっている部分の方が大きいだろう。
「安倍氏の指導する自民党と山口氏の指導する公明党には外交政策面で一定の溝がある。安倍氏が根本的にやり方を変え、野田政権の誤りを徹底的に捨て去るというのは、過度の期待だろう」と高氏は指摘した。
つまり山口氏の訪中にはまだいくつかの不確定性があり、全ては今後数日間の双方の話し合いを見る必要がある。中日関係は現在、厚い氷に覆われた状態だ。だが対抗ではなく対話によって紛争を解決するというのが中国が一貫して堅持している立場であり、膠着局面を一歩一歩打開する唯一の正しい道でもある。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年1月24日 |