今年一月二十七日は、ドゴール将軍と毛沢東主席の行った仏中国交樹立という歴史的政策決定の発表三十五周年に当たる。
三十五年来、仏中両国の関係は各方面において進展をとげた。特に一九九七年五月、シラク大統領の訪中後、両国関係に全面的なパートナーシップの兆しが現れた。同大統領の公式訪問はフランスの対中国政策の大きな枠組みを確立した。この枠組みとはつまり両国の間で共通の利益をもつ対話を優先的に展開し、市場経済への転換と法治国の建設という中国の重要な改革の実施を援助し、中国が大型の国際協力ネットワークに入るのを支持することである。昨年九月、ジョスパン首相の訪中はこの種のパートナーシップをいちだんと深めた。ジョスパン首相の訪中で、両国は国際金融協力に関する声明、および一連の情報技術、農業食品、知的所有権に関する協力協定に調印した。
「全面的パートナーシップ」は、深遠な意義を持っている。それには、われわれ両国の各分野における長期の戦略的眼光のある協力が含まれている。
科学技術面の協力は、他に先駆けて大きな発展をとげた。一九七八年、両国は科学技術協定を結んだ。この協定は両国が多くの方面でいっそう幅広い協力を展開する基礎である。実際には、仏中両国の交流と協力はすでに約二十種類百余件のプロジェクトに及んでいる。近年、両国の協力予算はたえず増額した。両国が優先的に協力を展開する分野は行政管理、先端技術と基礎科学の研究、農業食品、環境保全、都市企画と建築、運輸事業を含んでいる。
両国政府の結んだ協定が多くのプロジェクトに枠組みを提供しているため、民間団体の協力は五十余件にのぼり、豊富多彩である。例えば、大学と研究機構の間の協力、中国国家行政管理学院(ENAC)とフランス国家行政管理学院(ENA)の交流、中国科学院とフランスINRIAの情報·応用数学研究機構(LIAMA)の共同建設、フランス研究院と中国科学院の協力などがそれである。二十年間に、大学生を含む中国の各種の代表団八千五百人がフランスを訪問した。このような交流は今後数年にさらに増えるものと思われる。フランスはこのほど、フランスでの研修·学習について諮問し、および外国留学生にサービスを提供する専門機構を設置した。
一九九七年五月、中国を訪問したシラク大統領が江沢民主席と記念撮影
フランスはまた、新技術の開発、公司の法制、社会保険制度の確立など中国の多くの改革の実施に貢献した。両国の協力は大量の技術譲渡と基礎研究プロジェクトをもたらした。そのうち、「先進的研究プログラム」は重要な科学技術協力プロジェクトである。このプログラムは一九九一年に実施されてから、環境(水、空気の質、エネルギー、国土整備、自然リスク予防)、科学·技術·情報など百七十九件プロジェクトへの資金援助を提供した。これらは中国政府が優先的に発展させる分野である。このプログラムには工業応用を実現できるか、あるいは直接中国の発展事業に奉仕できるプロジェクトの実施を支持するという特徴がある。
重要な貿易パートナー
中国という巨大な市場に引き付けられて、大手企業と一部の中小企業を含め、ますます多くのフランス企業が中国に進出し、多くの企業がかなりいい成績を収めた。シラク大統領は一年半前に中国を公式訪問した時に述べたように、またジャスパン相首が昨年九月、中国を訪問した時に改めて表明したように、フランスは中国と工業·貿易のパートナーシップを真に確立することを望んでいる。このようなパートナーシップはフランス企業の品質と競争力を表しており、特に一九九七年五月十六日の共同声明で触れた航空、エネルギー、金融サービス、農業および運輸業などの優先的発展分野が強みを持っている。
現在、中国にはフランス企業が八百余社があり、中国で生活しているフランス人は約四千五百人いる。これらのデータは、両国の協力関係が急速に発展していることを立証している。わずか五年で、中国に進出したフランス企業が倍増し、中国で生活するフランス人が三倍増えた。昨年、貿易、研修、観光でフランスに赴いた中国公民は一九九〇年の四倍にあたる三万三千人に達した。
中国はすでにフランスの重要な貿易パートナーとなった。一九九七年、フランスの中国からの輸入総額は輸入総額の二·五%を占める三百八十七億フランに達した。昨年の一月から十月までの輸入額は一〇%増えた。近年、フランスの対中輸出が大幅に増加し、一九九七年、フランスが中国市場で二·三%シェアを占めたにもかかわらず、消費財の対中輸出が不十分であるため、フランスの対中貿易は赤字であった。その主な原因は税率障害およびその他の方面で直面した困難にある。
投資について言えば、フランス企業の中国市場への関心が一歩遅かったとはいえ、ここ二年に、この種の関心は強まり始めた。フランスの企業はこの態度を引き続き保つべきである。なぜなら、中国に根を下ろしているフランス企業が、経済投資のほか人材、技能面でも投資すべきであると考えているからである。フランスの一部大手企業、ひいては一部の中小企業も長期的戦略を制定し、中国への投資特にエネルギーへの投資を拡大することを望んでいる。フランスが中国のエネルギー建設になした貢献の中には、大亜湾原子力発電所と建設中の嶺澳原子力発電所が含まれており、フランス企業は三峡ダムの建設と国家重点プロジェクトである来賓発電所第二期工事の建設にも参加した。自動車製造の面では、フランスのシトロエン社は武漢に投資して工場を設立した。ルノー社も湖北省孝感県に投資して工場を設立した。金融の面では、フランスの九つの銀行、四つの保険会社が中国に事務所をおいた。農業食品の面では、北京にはフランス農業の家との協力プロジェクトがある。河北省にはフランスが出資で建設した近代的農場がある。
昨年四月、フランスを訪問した朱鎔基総理がシラク大統領と握手
指摘しておく必要があるのは、フランス企業がこれらの分野に投資し、発展する面で依然として大きな潜在力があり、これら企業の製品も中国市場のニーズに応えており、フランス政府がフランス企業の中国市場進出を大いに支持し、資金、情報の面から、フランス企業にできるだけ良好な条件を提供していることである。中国の市場、中国人の仕事のやり方、および建設中の司法環境は、フランス企業が中国に進出する前に十分な準備を整えるよう要求している。いまはフランスが中国に設置した外交機構、とくに中国にある領事館と商務部が役割を果たすべき時である。ここ二年、フランスは中国の広州と武漢に領事館を設立した。これはフランスが中国内陸部の経済建設に参与する願望を表明している。フランスが世界各地で設置した外交機構を見ると、われわれが二年内に二つの領事館を連続して設置できる国は中国だけである。
文化面での交流と対話
われわれは仏中両国の文化面での交流を非常に重視している。中国政府の協力の下でわれわれは互いに支持し、中国でフランス語の課程を開設し、フランスで中国語の課程を開設した。芸術面での交流も日増しに増え、両国で展覧会も開かれた。そのうち、特筆すべきは昨年四月、パリのバレエ団が北京の人民大会堂でバレエ「ジセル」を成功裏に上演したことである。最近になって、上海の人々は中仏共同上演のオペラ「ファウスト」と、フランスで五十余年間生活している中国系画家趙無極氏作品回顧展を観賞した。そして、趙無極画展は二、三月北京で開かれ、春は広州で開かれる。パリでは、昨年十二月から今年一月までに、有名なソルボンヌ大学で中国書道作品展が開かれた。いま一つ人々の注目を集めた展覧会は、セルニュシ博物館設立百周年を記念するために開催された上海博物館収蔵の青銅器展覧会である。中仏両国の建築芸術面での交流はとくに豊富多彩で、上海の人民広場で上海博物館と向かいあっている非常に奇麗な上海大型歌劇院は、ほかならぬフランス建築設計師の作品である。彼は中華人民共和国成立五十周年の時に落成する上海浦東空港の設計師でもある。
映画製作面でも、交流が頻繁に行われている。中国の映画はフランスで観衆のこの上ない熱情を引き起こし、彼らは中国の映画を高く評価した。フランスの映画は世界映画の中で独特な地位を占めており、時々困難にぶつかることもあるが、中国映画のように、フランス映画を新しい視線で世界を展示することを試みている。中国の映画発行人がフランス映画をより多く輸入することを望んでいる。フランス映画は「知識型映画」と見られる時もあるが、これは実際にはフランス映画の欠点ではなくて、フランス映画がいっそう大衆化し、ユーモアと激情にあふれていることを物語っている。
政治的対話と国際分野における協力
政治の面では、われわれは仏中両国のグロバール·パートナーシップの発展に力を入れている。これは独立を非常に大事にしているわれわれ両国にとっては非常に重要である。六〇年代からわれわれ両国は冷戦によって形成された世界のいくつかの陣営の解消に力を注ぎ、その時から世界情勢に大きな変化が生じたが、われわれ両国は終始世界各国間の障害と対抗の解消に努めている。人権問題、中国の世界貿易機関(WTO)加盟といった一連のかなり複雑な問題については、すでに定期的な多段階の対話が形成されている。唐家璇中国外交部長は訪仏期間に、中仏両国はこれらの問題をめぐって対話を行った。中国と欧州連合(EU)、国連との対話はなおさら多国間の協議である。イラクの情勢は最近やや悪化したが、仏中両国のこの問題に対する見方は、冷戦後の世界の新しいバックの下で、国際舞台における仏中両国の協力が密接で、成果に富むものであることを表している。多くの国際問題について、われわれは中国と意見を十分に交換し、正真正銘の多極化の国際新秩序の確立のために共に努力し、こうしてわれわれ両国が国連安保理常任理事国としての責任を全うすべきである。
ユーロの使用は、欧州各国間の関係をいっそう緊密にしている。中国はこの歴史的出来事に関心をもっているが、これは欧州と中国との関係をいっそう強化した。これは世界の多極化の形成にいっそう有利である。この時刻において、いっそう密接な協力を行うのは非常に必要である。フランスはこの新たな歴史的時期において、われわれが常に国際舞台に登り、ヨーロッパでは政治的地位を取得したように、経済面でも同様に発言権を得られることを望んでいる。
国際に存在している重大な政治問題、および経済、文化、科学技術分野の最新の発展をどう見るか。フランスと中国はともに、世界一体化という阻むことのできない世界の流れを積極的、協調的方向に発展させる決意である。国と国の間の相互依存はやがて世界の流れとなるが、早くも三十五年前に世界が分け隔てられた状態にある時、フランスと中国はこの面で先例をつくった。両国の交流が日増しに増え、内容がますます豊富になる今日、フランスと中国は依然として引き続き肩を並べて前進し、開放、平等、文明の世界をつくりあげるために努力している。
昨年一月、中国を訪問したフランス外相ベドリヌ氏が銭其琛副総理と握手 |