中国は、月着陸探査の面で第二集団の前列を走っている。中国は「嫦娥2号」を先に打ち上げ、6つのカギとなる技術での突破を実現し、今回の「嫦娥3号」によって大きな一歩をさらに踏み出したのだ。
もちろん、宇宙探査全体から考えれば、中国が先頭にいるとはまだまだ言えない。欧州は、月周回探査機のほかにマーズ・エクスプレスとビーナス・エクスプレスも打ち上げており、すでに大量のデータを得ている。日本が1998年に打ち上げた火星探査機「のぞみ」はまもなく火星軌道に入ろうとする時に連絡が途切れて失敗に終わったが、もう一つの宇宙探査は成功を収めている。小惑星上からのサンプル採取が可能な小惑星探査機「はやぶさ」だ。この技術は米国にもまだなく、オバマ大統領の小惑星探査計画では、日本との協力が検討されている。
中国の「嫦娥3号」は月着陸を果たした。欧州と日本、インドの月着陸探査はまだ実施段階に入っていない。中国が月探査の第二集団の前列にあることは間違いない。だが総体的に言えば、宇宙探査全体では欧州の方がやはり進んでいる。月探査の上に金星や火星の探査も行っているからである。
インドは火星探査機を飛ばしたが、現在はまだ打ち上げ成功にすぎず、探査機は今も火星軌道に向かって進んでいる。これまでも探査機がまもなく火星軌道に入るという過程で各種の問題から軌道投入に失敗し、データの送信もできなくなったというケースがある。火星軌道への投入の難度は高い。またインドのこの探査計画は、科学的な意義よりも政治的な意図の方が高いという見方もある。アジア初の成果を獲得しようという意図である。現在、アジアには火星探査に成功した探査機はないので、成功すればめでたくアジア初となる。
月面着陸探査と火星探査、小惑星のサンプル収集はどれが一番難しいのか。だがそれぞれにはそれぞれの難度があり、比べるのは難しい。インドの火星探査の難度はその遠さにあり、遠隔操作が難しく、通信のタイムラグは15分から20分に達する。ただインドの探査機は周回するだけのもので、着陸の任務はない。
月着陸の難度は、月面に大気層がなく、パラシュートが利かないので、大気の摩擦力による減速ができず、すべてをエンジンに頼らなければならないという点にある。また月着陸の過程が地球からは制御できないために、航法・誘導・制御(GNC)の自動航法システムに頼らなければならない。着陸時の衝突の緩和ももちろん問題となる。中国の月着陸任務には月面ローバーも含まれており、「月の夜」でいかに正常に作動させるか、探査巡視させるかという難度がある。中国の月探査の難度はインドの火星探査機の難度に劣らず高い。
日本の小惑星サンプル採取も異なる難度を持っている。まず小惑星への接近は容易ではない。中国の探査衛星「嫦娥2号」も小惑星に接近しての撮影を行ったが、サンプル採取にはさらなる困難を伴う。最も難しいのはサンプル採取後に地球に帰還することだ。このような遠距離での操作で、探査機を制御し、地球に戻すのは容易でない。米国も小惑星からのサンプル採取は実現できていない。
「嫦娥3号」の任務の一つは、「嫦娥5号」による無人サンプル採取に向けた土台を築くことにある。また中国が今後火星探査を進めるのにも必要な準備作業となる。測定・制御や月面ローバーなどの経験も参考となるだろう。
中国人が月面に立つ日がいつか来るのだろうか。今回の月着陸探査は、そんな日に近付く一歩となるに違いない。(編集MA)
「人民網日本語版」2013年12月15日
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