月面の形状と地質構造の調査、月面物質の成分と利用可能な資源の調査、地球のプラズマ層の観測と月からの天体観測--、月探査機「嫦娥3号」はこの3大科学調査任務を担い、12月上旬に打ち上げられることとなった。人民日報が伝えた。
月探査プロジェクト副総指揮者の李本正氏は、「月探査は非常に複雑でハイリスクなプロジェクトだ」と語った。資料によると、米国は現在までに月探査活動を59回、ソ連は64回、中国と日本は2回ずつ、欧州宇宙機関とインドは1回ずつ実施している(計129回)。そのうち成功もしくはほぼ成功は66回、失敗は63回で、成功率はわずか51%だ。米国とソ連のみが、13回に渡る無人探査機の月面着陸に成功している。米国は有人月面着陸を実現しており、ソ連は月面無人探査を2回実施した。
月は引力が一定しておらず、環状の山が多く存在する。これは月探査機が軌道から離れ、月面着陸する際の難題となる。また月の劣悪な環境(大きな気温変化など)は、月探査機「嫦娥3号」、特に着陸機と月面ローバーの厳しい試練となる。
嫦娥3号の着陸地点の候補地は「虹の入江」地区となっている。
虹の入江は月の正面に位置する平原のような場所で、北と西が山に囲まれ、東と南が広々としている。
月探査機「嫦娥2号」は虹の入江の局部の画像を撮影し、月面着陸の基礎を固めた。
嫦娥3号の月面着陸による「上陸」という任務には、高いリスクが存在する。例えば月には大気が存在しないため、探査機は飛行機が地球で下降する時のように、空気抵抗を利用することができない。そこで新たな手段を講じる必要が出てくる。また着陸候補地となっている虹の入江は範囲が広く、どのような地形に着陸するかを正確に予想できないため、リスク評価を徹底しなければならない。最後に月面ローバーが着陸機から順調に分離され、厚く軟らかい月面を自由に走行できるかについても、今後の経過を見守る必要がある。
李氏は、「嫦娥3号の各システムには、大量の新技術と新設備が搭載された。そのうち探査機の80%以上の技術と製品は、新たに開発されたものだ。多くの地上模擬実験と検証を実施したが、月、特に着陸地点の環境に対する認識が不十分だ。起こりうる問題について、すでに200以上の緊急マニュアルを作成している」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年11月27日
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