隆国強氏は、「既存の発展モデルには多くの不足点がある。中国経済は主に要素投入と資源投入に依存し、ひいては環境の犠牲を代価にして急成長してきた。中でも際立っている構造的問題は、サービス業の発展が著しく立ち遅れていることだ。その原因は、1つには対外開放がまだ足りないこと、2つ目は国内管理規制が行き過ぎていることである」と指摘する。
現在、中国経済の成長は力を欠き、経済モデル転換と構造調整が思うように進まず、多くの矛盾と問題が顕在化している。
そのため、経済のモデル転換とグレードアップに影響する体制メカニズム面の弊害を断固として排除することが、第18期三中全会が直面しなければならない問題となっている。
国務院発展研究センターが第18期三中全会に提出した改革案によると、第18期三中全会で決められる改革目標は、活力にあふれ、革新に導かれ、寛容性と秩序があり、法的保障のある社会主義市場経済体制の確立である。その具体措置は、市場体系整備、政府職能転換、企業体制革新の「三位一体」改革の推進であり、改革の対象は行政管理体制、独占業界、土地制度、金融体系、財政税務体制、国有資産管理体制、革新体制、対外開放など8つの重点分野に及ぶ。改革のスケールの大きさは、予想を上回るものだ。
隆国強氏は、「今回の会議は、『深水区』改革と開放推進にかける中国政府の注力度と決意を示している」と指摘する。
上層部改革の決意
今年は中国の新中央政府発足1年目であり、3月の発足以来、一連の政策措置を打ち出してきた。簡政放権(行政機構簡素化と権限委譲)、貸付金利規制の緩和、上海自由貿易区の設置、鉄道の「政企分開」(行政と企業の職責分離)など、大きな改革政策だけで7つもある。関連する内容には既得権益集団に触れるものも一部あり、新政府の改革に臨む勇気と気迫がはっきりと表れている。
5月15日、国務院が計133項目の行政許認可権限を撤廃・委譲したことは、中国政府が経済発展を妨げる制度的障害を排除したもので、経済の内在的活力の刺激を目的にした行動だと受け止められた。
国務院発展研究センター研究員の張立群氏は、「政府が許認可権を減らせば、モデル転換発展を制約する体制メカニズム障害の排除や、各所有制経済の公平な市場競争参加の保障、業界独占の打破が可能となり、それによって真の意味で社会主義市場経済が整備される」と指摘する。
しかし、簡政放権はすなわち関連政府部門の権力縮小であり、政府官僚の権力にまで影響が及ぶ。新中央政府が発足からわずか58日で、圧力に耐えて簡政放権に踏み切れたのは、政府の改革深化にかける決意の表れである。
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