「決定」貫徹についての若干の問題

「決定」の内容は豊かで全面的であり、五十ヵ条のいずれも重要である。「決定」の貫徹について、ここで若干の意見を述べたい。

（一）改革と発展との関係を正しく処理する。わが国経済発展の潜在力は大きく、今後かなり長い期間かなり高い成長速度を保ち続けていく可能性がある。われわれはチャンスを逸することなく、準備ずみの各項改革措置を推し進め、経済発展のために良好な体制上の条件をつくり出さなければならない。経済活動の段取りでは改革のためのかなり緩やかな環境をつくり出すことに意を注がなければならない。経験が教えているように、いかなる時にも二つの大事をしっかりつかまなければならない。一つは、農業の基礎としての地位を強化すること、もう一つは、国有大中型企業を立派に運営することである。ただいまから、国有大中型企業を立派に運営することに、いっそう大きな力をそそがなければならない。「決定」が求めているところにもとづいて、着実に企業改革を深化させ、経済発展の中で、それに主導的、中堅的役割を果たさせなければならない。

（二）マクロ規制強化と市場役割発揮との関係を正しく処理する。社会主義市場経済体制づくりは、ほかでもなく国によるマクロ規制のもとでの資源配置の基礎的役割を、市場に果たさせることである。国によるマクロ規制と市場メカニズムの役割は、いずれも社会主義市場経済体制の本質的要請であり、両者は統一された、補完し合い、促進し合うものである。従来の計画経済体制を改革するには、資源配置における市場の基礎的役割を十分発揮させなければならない。さもなければ、社会主義市場経済は存在し得ない。市場には自発性、盲目性、停滞性という消極的な側面があることを見てとらなければならない。こうした弱点と欠点は市場活動に対する国のマクロ指導と規制によって補い、克服しなければならない。現在の問題は、市場の役割が多くの面で十分に発揮されておらず、同時に市場が盲目的に発展し、経済秩序混乱の現象が現れていることである。われわれは市場体制を積極的に育成し、発展させ、引き続き価格改革と商品流通体系の改革を推し進め、生産要素市場を発展させ、市場に対するコントロール、管理、監督を改善、強化しなければならない。

（三）両手でつかみ、両手に力を入れる方針を堅持する。改革•開放と経済建設に力を集中する時、けっして精神文明の建設をないがしろにしてはならない。「決定」はとくに、社会主義市場経済のもとで正しい人生観と文明的で健全な生活様式を堅持するよう積極的に提唱し、社会的公徳心と職業道徳の建設を強化するよう指摘している。これらすべてはマトを射たものである。現実生活の中には、拝金主義、極端な個人主義、腐敗した生活様式、その他の社会的醜悪現象が確かにはびこり、あるものはかなりひどいところまできている。われわれは効果的な措置を講じてそれらと断固として闘わなければならない。正気を助長し、邪気を克服し、全社会に健全な向上と積極的な進取の濃厚かつ良好な気風をつくり上げなければならない。すぐれた民族文化伝統を受け継ぎ、外国のすべての先進的な文明の成果を学びとるべきである。だが、けっしてカスを精華と見まちがえてはならない。

廉潔政治の建設を強化し、腐敗に反対することは、社会主義市場体制確立に必要な条件である。反腐敗闘争の重点は、党•政府の指導機関、法律執行部門、経済管理部門であり、さらには重大事件の取り調べ•処理に置かれる。腐敗分子に対しては、それが誰であろうと、すべて党規、国法に照らして懲罰を加えなければならず、いい加減にして悪人をはびこらせてはならない。反腐敗闘争は長期にわたる任務であり、断固としてたゆみなく進められなければならない。