(一九九三年十一月十四日)
中国共産党中央委員会総書記 江沢民
十四期三中総は、きょう閉幕する。今総会で採択された「社会主義市場経済体制を確立するうえでの若干の問題についての中国共産党中央委員会の決定」は、党の十四回大会(一九九二年十月―編集者注)で打ち出された経済体制改革の目標と基本原則を具体化し、いくつかの面でさらなる発展を見せ、社会主義経済体制の総体的計画を制定した。これはわれわれが九〇年代に進める経済体制改革の行動綱領である。
当面の情勢について
現在、わが国の経済は発展し、政治は安定し、民族は団結し、社会は進歩し、総体的情勢は確かにすばらしいものである。
今年、国民経済は昨年の高成長を踏まえて、引き続き高成長を保っている。農業はかなりよい豊作をかちとった。経済の高成長の中で現れたいくつかの突出した矛盾と問題は、党中央と国務院がすでに一連の措置を講じて解決した。とくに六月から、マクロ規制を強化、整備して、金融秩序と経済秩序を大いに整頓し、数ヵ月にわたった各方面の共同の努力により、積極的な成果を上げた。金融情勢は安定に向かっている。不動産ブーム、開発区ブームおよび投資過熱の勢いは抑制された。国家の重点建設プロジェクトの進度は速まった。物価上昇はある程度抑制され、外貨調整市場の価格は下落し、基本的に正常に向かっている。国家財政の収支状況はやや改善された。都市•農村人民の収入は引き続き増えている。国民経済全体の運行は健全な方向に向かっている。当面の情勢にもとづくと、明年は依然としてかなり速い成長速度を保ち、国民経済の持続的、快速、健全数発展を実現できる可能性がある。
今年はチャンスをしっかりつかみ、引き続き価格改革を大幅に推し進め、多くの工業生産財の価格を自由化し、九〇%以上の県(市)が食糧価格を自由化した。経済全体の市場化程度は引き続き高まっている。対外開放は引き続き広く、深く推し進められ、外商の対中国投資は新たな高まりを見せた。
今年マクロ規制を強化し、健全なものにする中で現れた一つの重要な特徴は、改革深化によって前進途上に現れた矛盾と問題を解決したことである。それには主として経済手段と法律手段を用いたが、いうまでもなく必要な行政手段を副次的なものとしてとった。実践はそれが成功したことを証明している。これは、われわれに貴い経験を提供し、国民経済と社会発展の中に現れた深層部の矛盾を解決する根本的活路は、改革の深化にあることを教えてくれた。
当面の国内社会、政治面の状況もすばらしい。今年、中央と地方はいずれも人代、政府、政協の任期満了に伴う選挙を順調にすすめ、共産主義青年団、婦人連合会、工会などの大衆組織も前後して全国代表大会を開催し、指導部の新旧交代を実現した。社会主義民主と法体制建設は新たな進展を見せ、いくつかの重要な法律、法規を制定した。廉潔政治の建設と反腐敗闘争に力を入れ、いくつかの重大事件を取り調べ、処理し、不正の気風に歯止めをかけ、党と大衆との関係はさらに密接なものとなった。
国際情勢の推移と変化は、全体的に見てわれわれにとって有利である。東西の対決が収束し、世界にはかなり長い平和の時代が実現しそうである。とりわけわが国と隣国との関係がいっそう改善されたことは、経済建設のための平和な周辺環境と国際環境をつくり出すのに有利である。世界範囲の経済構造調整は、わが国が国外の投資と技術を導入するのに有利である。世界に対するアジア•太平洋地域の影響がますます増大していることも、われわれにとって有利である。
われわれは改革と発展のすばらしいチャンスに直面している。こうした歴史的チャンスは、多くはない。われわれはこうした有利なチャンスをしっかりつかみ、改革•開放と現代化建設の足取りを速め、わが国の総合的国力をいちだんと強化しなければならない。
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