経済失速リスクを警戒すべき

中国経済に対し過度に悲観したり恐慌状態になったりする必要はないが、悲観的予測には確かに理由がない訳ではない。現在の減速圧力とリスクは確かに警戒してしかるべきだ。

「寒波到来」。浙江省の貿易会社、義烏標点進出口有限公司の丁勝光総経理は企業経営状況をこう表現する。同社の上半期の欧米・中東業務は同期比で６割以上減った。「米国の顧客によると、もともとスーパーで１２足１組で売られていた靴下が、そのうち６足１組になり、今では２足１組でもなかなか売れない。これは危険信号だ。一番の冷え込みはまだこれからだ」。

中国中小企業協会の李子彬会長は、「多くの中小企業は景気が良くなると思えずにいる。これが一番の懸念材料だ」と指摘する。

高度成長から中程度の成長への「ギアチェンジ」段階にある中国経済は今、複雑かつ苦難に満ちた局面に直面している。支持条件と外部市場の変化により、生産能力過剰問題がいっそう際立ち、企業経営はより困難さを増し、従来の投資駆動型では経済を牽引し続けられなくなっている。また不動産調整は膠着期にあり、一部の大都市では自動車購入が制限され、消費構造のグレードアップは行き詰っている。

中国国際経済交流センター諮詢研究部副部長の王軍氏は、「減速幅は大きくはないが、全体としては右肩下がりの傾向にある。この傾向に歯止めをかけ、今のうちに政策やプロジェクトの準備を整えて、成長率が最低ラインに迫ったらいつでもしかるべき手を打てるようにするべきだ」と指摘する。