◆シーンその五 不思議な水滴
王氏は宇宙飛行士の飲用水の袋を手にし、開け口を開いたが、水は流れ落ちて来なかった。袋の水を絞り出すと、管の先から透明の水滴が出てきた。袋をそっと揺すると、水滴は宙に浮かび上がった。
王氏は、「李白が宇宙で生活していたならば、『飛流直下三千尺』という名句は思い浮かばなかっただろう。無重力の環境では、水が流れ落ちることはないのだから」と笑いながら語った。
王氏が次に飲用水を詰めた袋に金属の輪を入れ、金属の輪をゆっくりと引き出すと、美しい水の膜ができた。金属の和を揺らしても水の膜は破裂せず、小さな水滴が散らばるだけだった。王氏はさらに水の膜の表面に、「中国結」が描かれたシールを張ったが、水の膜は壊れなかった。この地球上ではめったに見ることのできない神秘的な現象は、地球の生徒たちを驚嘆させた。
水の膜の中にゆっくりと水を注ぎ込むと、やがて透き通った大きな水滴になった。注射器により水滴内に空気を入れると、二つの整った形をした球形の気泡ができた。気泡は水滴の中から出ることもなく、水滴に溶けこむこともなかった。続いて王氏が注射器で赤い液体を水滴に入れると、赤い液体はゆっくりと広がり、透き通っていた水滴が「赤ちょうちん」になった。
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