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北京週報>>特集>>井戸を掘る人々
──中国で、日本で、暮らして
 
◇中国語を学び、京劇を体験して◇
 

厳しくも温かな思いある師匠の指導

一日目は、京劇の基本的な内容を教わりました。黒板を使ったり、先生の実演を交えたりしながら、「これだけ知っていれば、隣に座った人よりも確実に楽しく観ることができる」ということを教えてくださいました。今まで漠然と「京劇は難しそう」と思っていましたが、基本的なことを知れば、誰にでも楽しめるものなのだということがわかりました。登場人物の見分けかた、劇の種類、技法、メイク、衣装、音楽などの他に、師弟関係や子どもの頃からの厳しい稽古の様子など、実際に経験した人にしかわからない具体的なお話をたくさんしてくださいました。

特に印象に残ったのは、厳しくも優しい、しかしやっぱり厳しい師弟関係です。師匠はほとんどほめることはせず、たとえば歌が上手にできていても、仕草や立ち回りができていなければ、その足りない部分を注意するそうです。そして、「お前がこの技を体で覚えて、きちんと次の世代に伝えていかなければ、この受け継がれてきた技術は私の代で終わってしまう、だからしっかり覚えなさい。」と言われたということです。黒板やノートには書けないこと、言葉では言い表せないことを自分で見つけて、体で覚えていく。表面的には決して優しいとは言えないけれど、奥にある温かな師匠の思いが伝わってきて、中国という国の奥深さを垣間見た気がしました。

京劇には舞台装置がないというのも印象的でした。役者の手や足の動きひとつで、そこにはない扉や階段が見えてくる。装置がないからこそ、自由に空間を変えることができる。無限に広がる想像力の世界は中国の広大さを思い出させます。

京劇技法の説明の時には、先生自ら私たちの目の前で歌や台詞、立ち回りやしぐさも実演してくださいました。ほんの一節歌っただけで、教室の空気が震えて、おなかの底に音が響いてきます。立ち回りの時も、しんとした教室の中で、手や体の動きが起こす風の音が聞こえ、びりびりと気迫が伝わってきました。本当の舞台の上でやっているものを観たら、もっとすごいのだろうな、と気持ちがわくわくしました。間近でプロの京劇役者の声や動きを見ることができ、こんな贅沢なことはない!と感動しました。

頭の飾りをつけるのも一苦労

 

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