中国には「飲水不忘挖井人(水を飲むときには井戸を掘った人を忘れない)」という言葉がある。この言葉は、1972年の日中国交正常化にいたるまでの間、さまざまな紆余曲折のなかで地道な努力を続けてきた当時の自民党左派の古井喜実氏、松村謙三氏らや日中経済交流に先鞭をつけた高碕達之助氏、岡崎嘉平太氏などを称えてたびたび中国側から口にされた言葉だ。そして国交回復当時の中国外相であった姫鵬飛氏がその回顧録のタイトルに選んだ言葉でもある。

国交回復後35年を経た今、これらの人々はいずれも故人となってしまわれた。新たな日中関係のページを開いていくのは戦後世代だ。戦後世代の人々は、彼らなりのやり方でその関係を築いている。日本人が、中国人が、それぞれ異国である中国に住み、日本に住んで、それぞれの国民と身近に交わるなかで、それまでの世代とは異なる「本音の関係」を築きつつある。

その彼ら、彼女らが感じていること、考えていることやその戸惑い、希望などは、日中関係の華々しい歴史のページには記されないかもしれない。それでも、彼ら、彼女らは本人がそれを自覚するしないにかかわらず、確実に井戸を掘り続けている市井の人々だ。

このコーナーでは、日本と中国のそうした人々の声に耳を傾けていきたい。

井戸を掘る人々
──中国で、日本で、暮らして
日中交流学生生活と私の夢
◇中国語を学び、京劇を体験して◇~交流を通した中国文化の理解~
~元北京駐在員のつぶやき~「中国に寿退社はあるのか」
~元北京駐在員のつぶやき~「中国人はいつからそんなにせっかちになったのか」
~元北京駐在員のつぶやき~ウルムチと北京で体感した中国サービス事情
~元北京駐在員のつぶやき~25年前との比較による上海の発展とその問題点
~元北京駐在員のつぶやき~庶民の足、路線バスから眺めた北京
◇中国人学生が語る「日中関係の未来」◇
◇まほらまの南京生活⑪◇~宣戦布告なき交通戦争~(~ウェンナン先生行状記~) 
◇まほらまの南京生活⑩◇~文化交流の民間大使~(~ウェンナン先生行状記~)
◇まほらまの南京生活⑨◇~日本で学生を追憶~
◇まほらまの南京生活⑧◇(~ウェンナン先生行状記~)
中国で第二の人生を送る穴澤貞幸さん
中日文化交流の架け橋―松谷省三氏
日本語教育の権威 留学生の知己
中国とゆかりのある日本の新しい首相夫人
◇まほらまの南京生活⑦◇(~ウェンナン先生行状記~)
「中国は日本の失敗に学んでほしい」
◇まほらまの南京生活⑥◇(~ウェンナン先生行状記~)
◇まほらまの南京生活⑤◇(~ウェンナン先生行状記~)
◇まほらまの南京生活④◇(~ウェンナン先生行状記~)
◇まほらまの南京生活③◇(~ウェンナン先生行状記~)
◇まほらまの南京生活②◇(~ウェンナン先生行状記~)
◇まほらまの南京生活①◇(~ウェンナン先生行状記~)
日中3000年来の交流へ橋渡し──わが身、燃やし続けて
心を通わせ、新世紀の言葉を紡ぐ
変わり行く北京、変わらない北京
私の留学生活