本誌記者 唐元恺
7月7日、中国初の「クラウドコンピューティング技術の工作機械業界への応用」プロジェクトが正式にスタートした。その関連技術はすでに米航空宇宙局(NASA)や米ジェネラル・モータース、中国華為技術有限公司などが採用している。力豊集団と中国科学院深圳先進技術研究院が共同で開発した国家クラスの科学研究プロジェクトである。
華為公司深圳本部の技術研究開発実験室 (梁旭撮影)
深圳先進技術研究院は深圳で唯一の国立の科学研究機構。創設わずか6年、研究者は1600人超。クラウドコンピューティングとモノのインターネット、新エネルギーと新素材などの分野でこれまでに60社に上る戦略的新興企業を立ち上げている。
同研究院は科学技術成果の産業化推進を成功させるルートである、と新華社は指摘。その実践はまさに中国が絶えず科学技術体制改革を深化させ、国の革新システムの確立を加速している縮図だと言える。
「クラウドコンピューティング技術の工作機械業界への応用」プロジェクトが正式にスタートする前日、「全国科学技術革新大会」が盛大に開催され、中国共産党中央(中共中央)や国務院の指導者、各省・自治区の責任者、科学技術を所管する省幹部、科学技術庁長官、企業や科学界の代表らが北京の人民大会堂に集まった。
「科学技術の革新」と銘打ったこのようにハイレベルの、大規模な範囲にわたる大会が開かれたのはこれが初めて。大会は中共中央と国務院の「科学技術体制改革の深化、国の革新システム樹立の加速に関する意見」を審議し、採択。正式に公布された後、同意見は新たな科学技術体制改革の原則的、綱領的な文書となった。
中国はすでに米国に次ぐ世界第2の経済体であり、しっかりとした経済的基盤により、継続的に科学技術への資金を増やすことが保証されている。第11次5カ年計画期間(2006~2010年)中、財政資金投入の増加率は年平均25.2%を維持した。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、中国は研究開発資金の投入で米国に次ぎ世界第2位となっている。
昨年、中国の研究開発費は8610億元に達し、増加幅は21.9%で、国内総生産(GDP)の1.83%を占めた。15年には、GDPの2.2%を占める目標を実現する見通しだ。
現在、中国の科学者のSCI(Science Citation Index)論文数は世界第2位。一方、中国人の科学論文の引用では世界第7位まで上昇している。昨年の発明特許取得数は17万2000件を数え、前年比27.4%増えて世界第3位となった。
万鋼科学技術部部長は「科学技術体制の改革では、自主革新能力の向上を核心とし、科学技術の促進と経済社会の発展を緊密に融合させることを重点に据えて、科学技術の革新を制約している際だった問題の解決に力を入れなければならない」と強調している。
新たな科学技術体制改革の実施について、万部長は、中国の発展モデルの転換にひそむ深層的な矛盾や体制メカニズムに存在する問題の解決が早急に求められており、その一方で、これは世界の新科学技術革命に対応し、産業の高峰を極める戦略的な契機になると見る。
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