本誌評論員 蘭辛珍
開催前から伝えられていた通り、6月8日に閉幕した先進7カ国(G7)首脳会議は、名指しを避けたものの、中国の正常な主権活動である南中国海での島礁埋め立てを批判した。G7首脳会議が南中国海の議題を取り上げるのは今回が初めてである。会議が中国の南中国海における情勢を客観に討論していないことは明らかだ。
1970年代まで、ベトナムやフィリピンなど南中国海沿岸諸国は中国の南中国海における九段線(南中国海の領有権問題に関して中国が主権を主張するために地図上に引いている9本の点線)を承認していた。しかしその後、南中国海で豊富な天然ガス資源が見つかると、フィリピン、ベトナムなどは中国の九段線内における南中国海の島礁を侵略・占拠し、軍用機用滑走路などの施設を相次いで建設して、こうした島礁への実効支配を強化し始めた。そして米国の「アジア太平洋リバランス戦略」が実施されると、フィリピンは米国容認の下で、実効支配中の島礁に軍事偵察・通信設備を増設し、南中国海の動向を監視するなど、さらに大胆な行動に出た。
2014年から、中国は主権管轄下の島礁で建設工事を行っている。これはまず南中国海における主権を守るためであり、同時に南中国海の海運、民用航空、捜索・救援、補給、気象観測にいっそうの便宜を図る必要性を考えてのことでもある。特に昨年3月にマレーシア航空MH370便が消息不明になった後、中国海上空を飛行する民間航空機に対するサービス提供能力の向上が中国にとって急務となっている。
これまで一貫して、米日はフィリピンなどが中国の南中国海における島礁を侵略・占拠し軍事建設を行うことに対して沈黙し、ひいては支持してきた。だが中国が自国の主権島礁で行う建設についてはとやかく言い、非難している。今回もまた米国は日本と組んで、G7首脳会議という機会を借り、はっきりと名指しはしなかったものの暗に中国の主権行為を非難した。
大国の指導者が集まり、国際社会の繁栄、安定、発展について話し合うことは、必要であり有益である。話し合いの結果が上記の目標を実現するために役立つものである限りはそうだ。しかし仮にこうした会議が上記の目標に反したり、あるいは他国の主権を損なったりした場合、会議は開催の必要性と合理性を失うことになる。G7首脳会議が中国や他の域内主権主張国が加わらない状況下で南中国海地域の議題を話し合うのであれば、その目的は南中国海紛争のために知恵を出すことではなく、単に中国の顔に泥を塗ることだ。
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