中国の仲裁拒否は国際法で与えられた合法的権利
今年3月30日、フィリピンはハーグ国際司法裁判所に4000ページの意見陳述書と証拠書類を提出し、中国の南中国海主権主張に反論した。ベトナムもフィリピンを真似て国際司法裁判所に中国を提訴しようとしている。フィリピンとベトナムは国際仲裁の「裏書」を利用して中国の立場を受動的なものにすることを企んでいる。これは、中国が一貫して主張してきた、当事国との交渉による南中国海問題の解決というアプローチから逸脱している。
杜起文氏の考えでは、中国が南中国海問題の仲裁に賛成せず、またそれに加わらないのは、「国連海洋法条約」で与えられた合法的権利の行使である。国際法に基づき、いかなる国も自国の考えを他国に押し付けることはできない。「国連海洋法条約」は、島や礁の主権と海域境界などにかかわる紛争において、締約国は第三者の強制管轄を受け入れないことを声明することができる、と明文で規定している。
「中国は2006年に次のような声明を発表した。中国が『国連海洋法条約』の規定に基づき、中国と隣国との主権権益紛争をめぐる国際仲裁を受け入れず、またそれに加わらないこと自体、法に則った処理である」と杜起文氏は指摘する。
ASEANとの「南中国海行動規範」交渉を推進
今回の中越紛争は、東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議、ASEAN首脳会議、ASEAN国防相会議の開催期間中にあたった。フィリピン、ベトナムの働きかけで、ASEANは南中国海問題における沈黙を破った。5月10日、ASEAN外相会議は「共同声明」で南中国海情勢について異例の言及を行い、各方面に対し自制的な態度を保ち、紛争を平和的に解決し、また「南中国海行動規範(COC)」を早急に完成させるよう呼びかけた。中国外交部の華春瑩報道官はただちに反応を示し、南中国海は中国とASEANとの問題ではないと指摘、中国は関連諸国が南中国海問題を利用して中国とASEANの友好的大局を壊すことに反対する、との態度を示した。
2002年、中国とASEANは「南中国海における関係国の行動宣言(DOC)」に調印し、COCの制定を共通の目標にし、また、COCの推進と実施をめぐって関連作業部会を開いた。その後、中国政府はさまざまな場で、ASEANと中国との関係の枠組み下で、情勢を緩和し、相互信頼を強め、COCの制定を段取りを追って共同で推進する意思を繰り返し示してきた。
2014年7月4日、劉建超外交部部長補佐は「中国・ASEAN運命共同体構築シンポジウム及び中国・ASEANシンクタンク・ネットワーク・キックオフミーティング」で挨拶し、「中国は、ASEAN諸国と善隣友好協力条約の調印について討議し、双方の国民の末永い友好関係構築の願いを法律の形式で固定化させ、中国・ASEAN関係の長期的発展のために制度上の保障を提供することを望んでいる」との考えを示した。
歴史が残した領土主権・海洋権益問題の解決が一日にしてなることはあり得ない。杜起文氏はこう述べている。「東アジア諸国が平和交渉によって南中国海問題をきちんと解決できると確信している。それは、時代発展の流れに合致し、地域、国及び世界全体の発展の利益に合致しているからだ」。
「北京週報日本語版」2014年7月25日 |