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北京週報>>特集>>斎藤文男氏のブログ  
◇日中で双方の美点を見つめ合おう◇

 

◇半世紀前の日本の姿、現在の中国の課題◇

私はこれらの疑問や質問に対して、相互理解が不足していることを各会合で訴えた。報道メディアが伝える情報だけでは、中国の全体像を知るにはあまりに不十分だ。現在の中国の姿は数10年前の日本の姿に重なる。日本人自身が当時の生活を振り返れば、中国を理解する一助になるのではないか、と考えた。

書道団体の文化講演会で講演する筆者=主催の書道団体提供=

アジアで初めてオリンピックが開催されたのは、50年前の1964年10月10日の東京オリンピックだ。日本は世界の仲間入りを果たそうとシャカリキになっていた。高度経済成長期の最中で、現在の中国と同様に経済成長が最優先され、公害問題が列島全体に広がり深刻な環境汚染が進んでいった。

環境問題を無視して経済を優先させた結果、日本は1968年、当時の西ドイツを抜いて国民総生産(GNP)が世界で2位になった。私は駆け出しの新聞記者で青森支局に勤務していた。この年、マグニチュード(M)7.9、震度5の「十勝沖地震」が発生した。死者52人、負傷者330人だったが、私は県内各地で取材し、1か月間、自宅のアパートに帰ることができなかった。事件、事故はいつ起きるかわからずの24時間勤務。その割に給料は安く、“世界2位の経済大国”の実感はまったくなかった。

日本内閣府の「国民生活に関する世論調査」でも、1972年には「心の豊かさ」より「物の豊かさ」を求める割合がやや上回っていた。しかし、物質的に豊かになってくると「豊かさ」の価値観も次第に変わり、40年後の2012年には「物の豊かさ」(30.1%)より「心の豊かさ」(64.0%)を求める人の割合が2倍以上に変化した。

中国の国内総生産(GDP)は2010年、日本を追い越して米国に次ぎ世界第2位になった。日本はあれから42年間、世界2位の経済大国を維持し4年前、中国とその地位を交代した。急速な経済と社会の発展に、市民の生活感覚や価値観が追いつけない状況にあるのは、当時の日本と同じである。現在の中国でごく一部の富裕層を除き、多くの市民層は世界経済2位の実感はないだろう。

日本は半世紀ほど前、東京オリンピック開催に当たり、特攻隊のように信号無視や無理な追い越しをする“神風タクシー”の無謀運転が国内外から批判された。道路での立小便や、電車内での喧嘩、観光地のごみの山など、公共道徳の改善が叫ばれていた。工場の排水や家庭からの雑排水を川から海に垂れ流し、水俣病や四日市ぜんそくに苦しんだのも1950年代から60年代にかけてである。当時の日本の姿は現在の中国の課題でもあり、これを解決するために日中の協力が今、求められているのだと思う。

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