◇南京大虐殺記念館で交流会◇
会場には、授業に振り替えて大型観光バスでやって来た学生など大勢が詰めかけ、コンサート終了後、紫金草合唱団の人たちと交流会が行われた。「紫金草物語」の組曲は南京大虐殺事件を題材にしたもので、「歌を聴いていて涙がでるほどだった」「これほど多くの日本人が、南京に来てくれたことをとても嬉しく思います。旅行費用は全員が自費だと聞いてさらに驚き、感動しました」「中日関係は現在、滞っていますが、このような交流をもっと続けてほしい」などと学生は感想を述べていた。
南京大虐殺記念館で熱心に行われた紫金草合唱団と中国側関係者との交流会
学生たちは数人がグループとなって、紫金草合唱団のメンバーとメールアドレスを交換したり、「日本に留学したときは、私のところに電話をかけてください」と、今後の交流についても約束しあっていた。
3日目は、南京大虐殺記念館で朱成山館長ら中国側関係者との交流会が行われた。朱館長は「中日の合唱団が一緒に歌っているのを聴いて感動した。日本の各地から、これだけ多くの人たちが南京に来るのは大変なことでしょうが、(日中関係が困難な局面になっている)こういう時期だからこそ意義がある。国と国の交流は国民と国民の交流だ。(紫金草の)花園の花が増えるとともに、団員が増えることを願っています。」と歓迎の挨拶をした。朱館長は毎年12月に行われる「大虐殺追悼平和国際集会」などでは厳しい表情を見せていたが、この日は穏やかな口調で笑顔だったのを見た紫金草合唱団の団員は、自分たちを歓迎している表れなのだろうと感じ取っていた。
午後からは、同記念館敷地内にある「平和の塔」の前で、地元・南京市の「心声合唱団」「成賢マンション合唱団」と合唱の交流会を行った。この合唱団とは数年前から交流を続けており、お互いに気心が知れている間柄だ。「平和の花紫金草」「赤とんぼ」「四季の歌」「茉莉花」などを一緒に次々歌い、再会を喜びあっていた。歌い終わってお互いにお土産を交換し、最後には抱き合って別れを惜しみ次回の交流を約束していた。傍らの花園には紫金草が静かに花弁を広げこの光景を見守っていた。
この日の夜は宿泊しているホテルで懇親会を開き、毎回訪中の度にお世話になっている南京市人民政府外事弁公室の孫曼アジア処長を始め、中国側の関係者を招待して和やかに賑やかに行われた。孫曼さんは「準備のために1カ月ほど前から忙しくなりましたが、今回の合唱交流も大成功をおさめました。これはみなさまのこれまで15年間の努力と歩みがあったからこそです。また、こういう時期だからこそ、いっそう有意義な交流になったと思います。」と、今後の活動にも期待を寄せていた。
歌い終わって思わず抱き合い別れを惜しむ日中の指揮者(南京大虐殺記念館の花園前で)
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