~12年ぶりで再会した母国の桜花に感動~
斎藤文男(前・南京大学日本語学部専家)
中国・南京から12年ぶりで昨年日本に戻り、桜の花が開花する時季に立ち会うことができた。南京生活は何年経っても“日々是愉快”の連続だった。機会があればこれからでも長期滞在したいと思っている。しかし、春、日本で桜の花に逢えないのは、日本人として何か忘れ物をしたような感情を、毎年味わっていた。香雲のような満開の艶やかさ、役目を終えた花びらがたおやかに散り、水面で花筏となる風情は想像するだけだった。味噌やソバなど日本の味は郵送してもらえるが、桜の風情は郵送できない。今年の春はゆったりと桜花を鑑賞できた。遠くに立ち去った昔の恋人に再会したような思いに浸っていた。
花のトンネルでジョギングや散歩をすれば、気分も軽やか。(狭山自転車道)
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