◇知識の累積による偏見のほこり払拭を◇
中国で大学院を卒業してから、さらに日本の大学院に進学したO・Sさん(女性)は、《現在でも在学生の身分にある。》といいながら、卒業後にも勉学の必要なことを訴えてきた。
筆者が作詞し、写作の授業で生まれた「こんにちはとニイハオ」を歌う4年生(2010年1月、南大鼓楼校舎)
《私は、小さい頃から小説を読むことが大好きだった。いつからか知らないが、原文が英語か日本語で書かれたものなら、必ず原文を読むようにしている。自分のこの癖を「潔癖症」と名付けた。小説を原文で読むことと生きていくこととは、限りなく類似しているのではないかと、ふと思ったことがある。人生のある段階から、一定の能力を身に付けた私たちは、他人から見せられた風景と教えられた知識に満足することが、もはやできなくなる。いつか必ず自分の眼で世界を観察し、自分の脳で問題を考え、自分の足で歩く欲求に駆られるだろう。》
彼女は学部3年生の時から担当した。最初の授業で私は自己紹介をしたとき、「日本で私は新聞記者をしてきましたが、生まれ変わってもまた新聞記者をやりたい。」と話した。学部を卒業するとき、最初の自己紹介のことを覚えていて、「私も、自分が生まれ変わってもやりたいことを探すため、これからも頑張りたい」とメールで伝えてきた。今回の作文でも《人生の道も、他人に従うより、自分の足で一歩一歩しっかりと踏み出して前へ進む「潔癖症」が私には必要である。》と、自己確立を求めようとする姿勢は変わっていないようだ。
《大学教育は、何を教えてくれたのかを、私はしばしば考えずにはいられない。知識の累積の一方、思い込みや偏見も次第に蓄積していく。自分の判断には、どれだけの偏見が伴っているか、気づいた時には、きっと驚くに違いない。自分の思想に溜まった「偏見の埃」を定期的に取り払わなければ、完全な「潔癖症」とは言えないだろう。》
◇卒業後も謙虚に勉強を続けよう◇
卒業後も引き続き、勉学や自己研磨が必要なことに気がついた人は他にも何人かいた。
《南京大学の卒業生はみんな、南京大学が名門であることを誇りに思っているでしょう。名門大学出身はあなたのこの前の成績だけであり、これからの道はまだ努力が必要です。これから努力しないと、将来は母校の恥になるかもしれません。名門出身であっても、謙虚に勉強し続けることこそ、人に尊敬され、よい成績を獲得することができます。》G・Eさん(女性)
「自分なりのビジョンを持ちましょう」と、青春の特権で大きな夢を持つことを後輩に訴えてきたのはK・Kさん(女性)だ。
《卒業後は誰もそうであるみたいに就職して“普通”の社会人になります。すでに決まっている人生に引かれて行くという思いしませんか。自分のビジョンとストーリーを十分な時間を通じて作った後、職業を選択しても遅れないと思います。》ビジョンに熱情をプラスすれば「天下無敵」になると強調していた。体験から得た後輩への温かな助言なのだろう。(写真はすべて筆者)
「北京週報日本語版」2012年12月24日
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