◇毎日新聞コラムで手紙を紹介◇
県庁食堂を経営している社長の菊地静江さんが、この手紙を毎日新聞山形支局に「こんな手紙が中国・南京から来ました」と届けた。当時の中山信・支局長が自身のコラム「山形路」で、「心も伝えたい」との見出しで手紙の内容を次のように紹介してくれた。
昔の失策を笑顔で許してくれたアイディア社長の菊地さん
≪(略)先週はまた、県庁食堂を経営している菊地静江さんから「毎日新聞の方に読んでもらいたい」と一通の手紙を届けていただきました。差出人は山形支局に1973年から6年間在籍し、2001年に退職後は中国・南京大学で教壇に立っている斎藤文男さんです。
「山形県庁食堂で働く職員のみなさん。三十数年前の私の失策をお詫びします」と始まる手紙は、馬見ケ崎の川原で芋煮会をした際に県庁食堂から大鍋を借りたが、返す際に鍋の底についた煤をきれいに洗わずに返してしまい、後で職員の人が鍋の底を丁寧に洗っているのを見て大変申し訳ないと思ったとつづっています。
(略)菊地さんは「送られたお茶とお菓子を今の職員皆でいただき、手紙を読んで心も温まりました。人の思いがなかなか伝わらない今の世の中で、せめて新聞は……と思います。こういう温かさが伝わる方が毎日新聞にいたことが素晴らしい」と話してくれました。
(略)菊地さんの言葉を、私たち後輩記者にも「温かい気持ちを忘れないで」という励ましと受け止めさせていただきたいと思います。山形支局長・中山 信≫(2007年12月3日、毎日新聞山形版「山形路」から)
南京から送ったお詫びの手紙を菊地社長さんが毎日新聞山形支局に届け、それを支局長がコラムで紹介してくれたお陰で、私の気持ちが多くの人に伝えられたのはとても嬉しかった。読者の中には、当時の県庁食堂で働いていた職員がいたかも知れないと思い、私の気持ちはいくらか楽になった。
今年の夏休みに一時帰国したのを機会に、かつての勤務地の山形市に行くことを思い立ち、7月下旬県庁に菊地さんを訪ねた。
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