◇テーマを決める難しさ、書く楽しさ◇
学生が卒論を書く時、もっとも頭を痛めるのはテーマを何にするかということだ。作文やレポートの場合、先生から出題されたテーマについて書く場合が多い。私は「写作」の授業で出題するとき、毎回少し説明をしている。「このごろちょっと気になること」という題の場合は、気になることを列記してあれもこれも気になる、と書くのではなく、気になること一つを具体的に書くこと。「ちょっと」という日本語の意味も、「少し」という意味ではなく、日本語の「ちょっと」は幅広い意味が含まれ、この場合は「とても」という意味になる、などと話している。「空」という一字の出題のときには、「そら」と読んでもいいし、「くう」と読んで「何もない」ことや「宇宙」と解釈してもいい、と学生の想像力をふくらませた作文を期待している。
学生は自分からテーマを見つけて書くことはほとんどない。そこで私は「写作」の授業で、学生から書きたい作文の題を一人ずつ訊いてそれを黒板に列記した。その場で学生から投票してもらい、一番多かった「旅する人生」という題を出題したことがあった。自分たちで決めた題だから、学生の書いた作文は力作が多かった。この時学生は、自分で題を決めて文章を書くことが非常に難しいことや、「自分で書きたいことを書く」ことが意外に楽しいことを経験したようだ。
南京大学正門前で創立110周年の横断幕をバックに記念写真
|