◇季節感や盛り付けで日本料理の味付◇
日本料理の場合は、その食材の季節にあった旬の味を活かして食べようとする。その究極の料理が魚を生で味わう刺し身だろう。周囲が海に囲まれた日本は魚の食材が豊富にある。中国料理とは逆になるべく料理をしないで、その土地で取れたその時季にあった旬のものを味わう。そのため、日本料理には季節感がポイントになる。
生の魚をただ切って盛り付けただけで、“料理”とは言えないかもしれないが、切り方や盛り付け、季節感を表すなどさまざまな日本料理ならではの“味付け”がある。この盛り付けや料理の方法などの基本が中国古代思想の「陰陽五行説」に由来しているというのだから驚く。
「陰陽五行説」とは、中国古代の世界観で「相対立する陰・陽二気の考えに、木・火・土・金・水の五行を結合し、自然・人事など万般の現象を説明する」(大辞林・三省堂)ものである。陰と陽は「宇宙の万物に働く相反する性格のもの」(同)で、天・男・日・昼・動・明などは「陽」であり、これに対して地・女・月・夜・静・暗は「陰」とされている。積極的な性質をもつプラスなものは陽、消極的な性質のマイナスのものは陰というわけである。数字の場合奇数は陽、偶数は陰となっている。
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