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北京週報>>特集>>斎藤文男氏のブログ  
◇根っ子は同じ日中食文化◇

 

◇大胆さと慎重さの同居が極意◇

                          筆者が作った中国料理「松鼠魚」

調味料はレシピのメモに塩15グラム、砂糖50グラムなどと献立表に書いてあるが、実に大ざっぱだ。大きな玉じゃくしでザッ、ザッと加える。「このあたりは自分の感覚で覚えるしかない」と先生。この味付けで、出来上がったものは絶妙な味になるから不思議だ。大雑把と言っても、先生は途中で必ず味見をする。一回の味見で決まることはない。味付けの分量を規定しても、食材によっては含まれている塩分の量が異なる。規定の分量に頼らず、自分の味覚で確認することが必要なのだと理解した。大まかな大胆さと細やかな慎重さの同居が中国料理の極意だと知った。

この時は2カ月で16種類習った。翌年の春節休みにも挑戦した。2回目は連日12日間に集中して24種類を学習した。これでメニューは全部で40種類になる。「これだけマスターすれば中華料理店を開けますね。」と先生。1、2回作っただけでは、とても店を出せる味にはならない。今でも材料の切り方や作り方の手順すらも覚束ないほどである。

中国料理で最も大切なことは「形と色だ」と先生はいう。「松鼠魚」(揚げた白身魚の甘酢あんかけ)はその典型だろう。魚のヒレをリスの耳のように付け、青い豆のようなもので目を2つ付けた。名前のとおり顔の部分はリスそっくりだが、全体は魚のあんかけになっている。油で揚げた魚に甘酢がしみ込んでさくっとした美味しさだが、形を崩して食べるのはもったいないような姿だった。

 中国料理は全体に中国人の口に合うように作られている。同じ食材でも北方の人には塩味を強く、南方の人は甘酸っぱく、西の人には辛くと好みに合わせて作る。

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