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米国のパリ協定離脱、その陰に苦渋あり?
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張敬偉 · 2017-08-08 · ソース: |
タグ: 米国;パリ協定;政治 | 印刷 |
現地時間8月4日、米国の国連常駐代表が国連に『パリ協定』離脱を通知した。これについて、国連のグテーレス事務総長は「極めて失望させられる出来事だ」と強調した。
米国の『パリ協定』離脱に関するすべての手続きが終わるのは2020年11月になるだろう。興味深いタイミングであることに注意してほしい。その頃はちょうど米国大統領選挙の正念場、間もなく新大統領が選ばれる時期に当たる。現在のトランプ大統領の執政状況からすると、一期目をなんとか満了できれば上出来だ。そう考えると、米国の『パリ協定』離脱は間が抜けているように見受けられる。
それにもかかわらず、米国の『パリ協定』離脱がもたらす悪影響は無視できない。『パリ協定』に調印した国は200近くあるが、すべての調印国が国内手続きを終えたわけではない。米国の離脱は国内手続きを躊躇している国々に対して模範的効果を上げることになり、米国に追随する国も出てくるだろう。何といっても、米国は二酸化炭素排出大国である。米国が先頭を切って『パリ協定』を離脱したことは、2020年以降の二酸化炭素排出計画にとって極めて大きな挫折となった。地球は米国一国だけのものではない。米国が発展のために温室効果ガスを大量に排出すれば、他国にとって公平ではなくなる。
また、米国の『パリ協定』離脱は、トランプ大統領の反グローバル化と「米国第一主義」政策の重要な一環である。トランプ大統領にとって、米国と関連する世界的な多国間枠組みは米国にとってどれも不公平で、米国が思うところの「公平」を実現するために、すべて反故にして再交渉しなければならないものだ。従って、グローバルな世界貿易機関(WTO)から地域的な環太平洋経済連携協定(TPP)、ひいては北米自由貿易協定(NAFTA)に至るまで、トランプ大統領は興味を持っていない。
特に、トランプ大統領は米国の危機後の総合国力を振興するために、そしてもちろんその選挙公約を実行するためにも、第一産業、特に石炭石油産業を重視している。トランプ大統領は米国の化石エネルギー産業が長い間抑制されてきたと考えており、中国とインドのような新興市場の全面的発展を見ていられないのだ。そのため、トランプ大統領統治下の米国『パリ協定』離脱はそう驚くことではなかったはずだ。
実のところ、米国の『パリ協定』離脱をそれ単独で理解してはいけない。前述の通り、それはトランプ大統領が進めている一連の反グローバル化政策の一部である。トランプ政権は天下の大悪をあえて侵したわけだが、それは実のところ米国の総合国力が衰退しつつあることの反映でもある。危機の試練を経た米国の総合国力はまだ世界第一の超大国ではあるが、国力は以前に遠く及ばず、すでに世界のリーダーとしての責任を負うことができなくなっている。こうした傾向はオバマ時代からすでに始まっており、中東の戦略的撤退とアジア回帰は、米国の戦略的実力が中東とアジア太平洋の二方面での配置に耐えられなくなり、アジア太平洋地域を重点的に維持することしかできなくなったことを意味していた。
ビジネスマンであるトランプ氏は大統領就任後、アジア太平洋戦略配置も困難が多く手が回らないことに気づき、国内重視と内政重視に戻るしかなかった。このような情勢の中では、米国が担っていたほとんどすべての世界的な義務をご破算にする必要があった。トランプ大統領の立場からすると、反グローバル化は米国の戦略的退勢を変える唯一の選択だったのだ。
「米国第一主義」は代価を払わなければならない。米国の『パリ協定』離脱で明らかになったのは、責任を負わず、信頼を重視しない米国だ。当然、米国政党政治の特徴により、トランプ時代の「反グローバル化」もそれほど続かないかもしれない。だが、今回のごたごたの後で米国が世界のリーダーの地位を取り戻そうとしても、それは難しいであろう。
(張敬偉、チャハル学会高級研究員)
「北京週報日本語版」2017年8月8日
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