フィリピンのドゥテルテ大統領が中国を訪問している。中比関係は新たな契機を迎えた。就任後の一連の政策と言行から見て、ドゥテルテ大統領は明らかに米国との関係のような不対等な外交関係を変え、より多くの国と実務協力を展開することを望んでいる。今回のドゥテルテ大統領訪中は次の３つの使命を帯びている。

第一の使命は、政治的相互信頼を再構築する「破氷の旅」である。２０１２年の黄岩島（英語名「スカボロー礁」）紛争以来、中比の政治的相互信頼は大きく損なわれた。ついにはアキノ３世政権が南中国海仲裁手続きを一方的に申し立て、中比関係は氷点まで冷え込んだ。ドゥテルテ大統領は就任後、独立した外交政策を実施し、フィリピン自身の国家利益への奉仕を極力図ってきた。公の場で南中国海仲裁手続きの影響を抑制的に処理し、「援助カード」や「人権カード」などを切るよう絶えず求めてくる米日の圧力に耐えて、南中国海における米比共同巡航を一時的に中止すると発表した。善意を示すことは相互信頼再構築のスタートである。今回の訪問が中比関係の硬い氷を打ち砕き、中比関係を健全な軌道に戻すことを期待する。

第二の使命は、実務協力を展開する「協力の旅」だ。ドゥテルテ新政権が任期中に三大任務を実現するには、対外実務協力が欠かせない。１つ目の任務は、貧困撲滅と経済発展だ。大統領はフィリピンの貧困率を２５％から１６％に下げることを公約している。２つ目の任務は、麻薬撲滅、交通整備、政治腐敗に対する懲罰を通じて、国内の安定した環境をつくること。３つ目の任務は、国内の反政府武装主義勢力や過激派を取り除いて、全国和解プロセスを実現することである。