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【40代から始める日本人の中国生活の記録】中国のトイレから見えてくる人々の意識の変化
本誌記者・植野友和  ·   2023-02-14  ·  ソース:北京週報
タグ: トイレ;都市;中日交流
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この10年間、中国ではさまざまな変化があった。そのことを示す中国キーワードだけでも質の高い発展、小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的完成、農村振興、貧困脱却の難関攻略、生態文明建設など枚挙にいとまがなく、この国はまさに一言で言い表せないほどの飛躍と変貌を遂げた。 

そんな中、今回テーマとして取り上げるのは、上記のような業績に比べると一見小さなことと思われがちだが、実は深い意味を持っており、個人的にはとても身近で何よりうれしい変化である。それは、近年の中国で推し進められている「トイレ革命」。全国各地のトイレが、まさに革命と呼んでもおおげさではないほど、清潔になっているのだ。 

かつて、上海で20年以上暮らしている日本人女性に取材した際、たまたま話題がトイレのことになり、その方が言っていた内容を今でもよく覚えている。 

「私も長くこちらに住んでいますけど、今は本当に町のお手洗いが清潔になりましたよね。昔は入るのもためらうようなところも多かったから、上海市内でどこのお手洗いがきれいかっていうことを覚えておいて、突然お腹が痛くなったときなんかはそこを目指して我慢していたんですよ」 

その気持ち、よく分かる。今では考えられない話だが、かつては確かに一歩入ったとたん、のけぞるような公衆トイレが普通にあった。2008年の北京夏季オリンピック以降、都市部ではかなり改善されたが、地方に行けばまだまだ昔ながらのお手洗いは多く、「どうやったらここまで汚せるのか」と思うようなところもあれば、これは古代遺跡か何かだろうかと思うほど年季の入ったトイレに出会うこともあった。ところが現在、大都市の町中はもちろんのこと、高速道路のパーキングエリアや鉄道の駅、さらには観光地に至るまで、あらゆる場所のトイレが見違えるように衛生的になったのである。 

「それでもさすがに日本ほどではないのでは」と思う方もおられるだろう。確かに、日本のレベルにまでは至らないかもしれない。しかし、新型コロナ発生後、感染対策で頻繁にトイレの消毒が行われるようになってからは、もう一段衛生的になった。中には、「日本の繁華街にこれほどきれいなトイレ、そう多くはないのでは」と感じられるような公衆トイレに巡り合うこともあるほどだ。 

ちなみに、中国の男性トイレには、「一歩前に進んで用を足しましょう」ということを伝えるため、しばしば「向前一小步、文明一大步」といった標語が貼られている。まさにこの言葉通り、小さな一歩は、文明にとって大きな一歩。中国のトイレの変化は、社会全体から見たら些末なことかもしれないが、そこに内在する意味は極めて大きい。 

たかがトイレ、されどトイレ。トイレ革命は国民生活の質的向上、そして人々の公共心の高まりを象徴する出来事だ。中国の人々は豊かな暮らしを享受するとともに、自らの意識も確実に変えてきている。特に、今どきの中国の若者はマナー面で実に洗練されていると心底思う。もちろん、筆者は大都市・北京在住であり、あくまで自分の視界に入る範囲での実感なので、違う感想を持つ在中邦人の方もいるかもしれない。とはいえ、ゴミをちゃんと分別して捨て、地下鉄やバスでお年寄りに席を譲り、行列に割り込んだりしない中国の若者たちを見ていると、やはり隔世の感を覚えてしまうのである。むしろ、日本のニュースで「トー横キッズ」なる人々や、大阪の「グリ下」に集う少年少女のことが報じられ、それらを見聞きしていると、自分が知っている日本とのギャップに驚きを感じる。むろん、情報番組などで誇張して報じられている部分もあるだろうが、「これって北京だったら絶対ありえないことだよな」と思ってしまうのである。 

話を中国のトイレに戻すと、とにかく今はどこのお手洗いを利用しようが、ストレスを感じることがなくなった(もちろん例外もある)。これほどの成果を収めたのは、当然のことながら人々の意識の変化が大きいが、それだけでなく政府による取り組みがあってこそ。「トイレは決して小さな問題ではなく、都市・農村文明建設の重要な面であり、観光地や都市だけでなく農村でもこの農村振興戦略における具体的な取り組みを推進し、大衆生活の質に影響を及ぼす足りない部分を補っていかなければならない」とは習近平総書記の言葉だが、中国はこのようにリーダーが方向を指し示すと、国全体がそれに向かって一気に動く。この一体感、スピード感が中国の持ち味であり、強みであると筆者は感じる。 

重ねて言うが、トイレの美化は中国におけるあらゆる事象の一つであり、こちらでは同様の原理であらゆるダイナミックかつポジティブな変革が起きている。国家間の往来が正常化に向かう現在、旅行やビジネス、留学などで中国を訪問する方も、今後増えていくことだろう。その際にはぜひ、町のトイレを利用してみてほしい。中国に関する固定観念が、きっと変わるはずである。 

「北京週報日本語版」2023年2月14日

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