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【40代から始める日本人の中国生活の記録】私と春節の思い出
本誌記者・植野友和  ·   2023-01-16  ·  ソース:北京週報
タグ: 春節;鉄道;中日交流
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春節(旧正月、今年は1月22日)は中国の人々にとって最も大切な祝日である。ふるさとに帰省したり、連休を利用して友人と旅行に行ったりと過ごし方はさまざまだが、筆者が春節と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、地方から出稼ぎに来ていて普段は家族と離れ離れで暮らす人たちが年に一度、一家団らんを楽しむというイメージだ。

2012年、まだ中国語の勉強を始めたばかりの頃、安徽省出身のおじさんと知り合いになった。奥さんと子ども2人をふるさとに残し、上海で働いていたこの方は農村からの出稼ぎ者で、一般的に「農民工」と呼ばれる人々である。本人は若い頃、家庭が貧しかったせいで進学できなかったため、せめて息子と娘は大学に行かせたいとして給料の大半を実家に送っていた。

実を言うと、自分は2度ほど彼が住んでいる寮に遊びに行ったことがあるのだが、その生活は実につつましいものだった。「生活費なんて、月に300元あれば十分だ!」「子どものためを思えば、これくらいなんでもない」と笑って言っていたが、1カ月300元(ただし寮と1日3食は職場が提供してくれる)での上海暮らしがいかに大変なことかは、外国人である筆者にだって何となく想像できる。

その知人と数年後に話した時には、出稼ぎで家族と一緒に暮らせないといっても、今はウィチャットで毎日家族と話せるし、テレビ通話で顔も見られるから恵まれていると言っていた。確かに10年、20年前に比べれば、中国が強みを持つ社会実装型のIT技術は、多くの農民工に便利さだけでなく心のぬくもりをもたらしていると言える。

それでも本音を言えば、愛する家族と面と向かって会いたいに決まっている。生活費を切り詰め、日々仕事に打ち込みながら、心の中では年に一度の春節、そして家族との再会を待ち望んでいるのである。当時、そんな彼の姿勢にはとても感銘を覚えたし、このような出稼ぎの人々にとって春節がいかに大事なものであるか、分かった気がした。

もっとも、かつて日本で働いていた頃は、春節について全く知識を持ち合わせていなかったため、いろいろと不思議に思ったものだった。当時筆者は華僑の方が経営する会社とお付き合いがあったのだが、毎年春節になると最低でも1カ月、下手すれば1カ月半から2カ月の間、工場が動かなくなると言われ、理由が分からず驚いた。カレンダー上では1週間の休みなのに、なぜそんなに休むのかという疑問である。

その答えは、聞いてしまえば納得できるものだった。工場で働いている人の多くは遠方からの出稼ぎ者で、ふるさとに帰るといっても1日や2日で着くケースばかりとは限らない。そのため、早い人なら春節の半月から1カ月ほど前には帰省を始める。すると、残っている少数の人だけでは仕事が回らなくなるので、事実上操業がストップするわけだ。むろん、大手企業などでは生産ラインを止めないために人員を確保できるだろうが、この取引先は従業員20人程度の小さな会社で、春節前にできるだけ仕事を前倒しで終わらせるという対応をしていたのだった。

しかし、近年はそのような春節ならではの様相に変化が起きている。中国各地に鉄道網や高速道路網が張り巡らされていくにつれ、昔のように「帰省でふるさとに着くまでに片道5日はかかる」などという話はまず聞かなくなった。前出の安徽省出身の知人とは今でもたまに連絡を取っているのだが、彼も地元に高速道路が通ってからは本当に便利になったと言っていた。中国におけるインフラ整備の進展は、春節に伴う帰省の面でも人々に恩恵をもたらしているのである。

かつては春節が近づくと、「春運」と呼ばれる春節時の帰省ラッシュに向けた交通機関の特別輸送体制が敷かれ、それでも公共交通機関は大混雑に陥るのが常だった。過去数年は新型コロナウイルス感染症対策の影響もあり、帰省できなかった人もいたが、今年は人々の大移動とそれに伴う賑わいが戻ってくるはずだ。ラッシュに巻き込まれる方々にとっては大変だろうが、それは人々の暮らしが正常化している証しであり、喜ばしいことだと思う。

最後に、筆者にとっての春節について語ると、特に何もせず北京でゆっくりするのが例年の過ごし方だ。多くの人々が帰省しているため、北京市内は観光名所などを除いてどこも閑散としていて、混雑の心配がないため街歩きを楽しむにはもってこいの時期である。町中にはさまざまな春節の飾り付けがされていて、それらを見て回るのも楽しいものだ。日本人である自分にとって、正月といえばやはり元旦という印象が強いが、こちらで数年暮らす中で、春節の趣きもだんだんと分かるようになってきた。1年に2回正月があると思えば、日本で暮らしていた頃に比べ、楽しみが2倍と思うことすらある。日本にお住まいの皆さんもぜひ中華街などを訪れて、春節の雰囲気に触れていただければ幸いだ。

「北京週報日本語版」2023年1月16日

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