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【40代から始める日本人の中国生活の記録】映画が示す中国のソフトパワー
  ·   2022-12-26  ·  ソース:北京週報
タグ: 映画;ソフトパワー;中日交流
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2022年12月16日、ジェームズ・キャメロン監督作『アバター』の続編である『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が中国と米国で同時公開された。同作の中国における興行収入は上映開始からわずか3日間で3億9000万元を突破した。だが、実際には海外の映画作品だけでなく、近年中国では『隠入尘煙』や『你好,李煥英』(邦題・こんにちは、私のお母さん)『揚名立万』『長津湖』(邦題・1950 鋼の第7中隊)など数多くの優れた作品も生まれており、映画業界の発展は目覚ましいものがある。そこで今回は、一人の外国人としての視点から、自らの中国映画に関する理解を語ってみたいと思う。 

映画とは、その国の文化的発信力を示すものさしであり、ソフトパワーそのものだ。この点において、やはり米国が頭一つ抜けているのは否めないが、中国とて負けてはいない。海外で大いに共感を呼ぶクリエイティブな作品から、国内向けの娯楽映画まで、キラリと光る名作が続々と生まれているのである。もしあなたが中国映画を食わず嫌いしてるのなら、それはあまりにももったいないことだ。 

さて、中国映画というと、かつては世界で知られる巨匠の作品ばかり注目される傾向があった。陳凱歌(チェン・カイコー)や張芸謀(チャン・イ―モウ)といった監督がそれに当たり、日本人でも名前くらいなら知っている方は少なくないはずだ。 

2022年、都内で『覇王別姫』(邦題・さらば、わが愛 覇王別姫)が再上映されて話題になったが、これらの巨匠の作品は極めて芸術性の高いものが多い。実際、『覇王別姫』は中国映画の最高傑作の一つだと思うが、ハリウッド映画のように万人受けするかというと、そこは疑問符が付く。 

例えば、張芸謀監督の処女作に『紅高粱』(紅いコーリャン)という作品がある。かつて自分は翻訳をなりわりとする中国人友達と映画話をしていて、この作品の名前を挙げたところ、「あれ、何が面白いの」と言われ、思わずずっこけた。「いや先生、あの最後のシーンの色彩に何も感じなかったんですか」と思ったが、映画の見方は人それぞれ。娯楽作品が好みの方にアート作品を見せて無理に感動しろと言うのは、筋違いな話である。 

そういった巨匠による大作が海外の映画祭で賞を取り話題になる一方、それ以外の映画となると、以前は一部の映画ファンを除くと、日本ではあまり注目されてこなかった。ところが近年、そのような状況が明らかに一変している。歴史テーマの大作だけでなく、サスペンスや戦争映画、SFに娯楽作品と、日本のみならず世界で評価される監督、そして作品が続々と登場しているのだ。 

一例を挙げると、ベルリン映画祭で金熊賞を獲得した『白日焔火』(邦題・薄氷の殺人)という作品がある。内容についてはネタバレになるので何も語れないのだが、まず素晴らしいのはノワール・サスペンスとして極めて良質であると同時に、極めて奥深いメッセージが込められている点である。要は、娯楽作品として成立していながら、ヨーロッパ映画のような深さが欲しい人にとってもたまらない内容となっているのだ。さらに、この作品で美しいと思ったのは、中国東北部の何気ない風景、というよりはどちらかというと現地の人がダサいと感じるような街の光景が、実はこの上なくフォトジェニックであると認識し、映画の中で存分に活かしていることである。中国の街角でしばしば見かける、一種の安っぽさすらある原色のネオン。それが映画の中で、まさにここぞという場面で見事に映える。こういう感性は、世界を視野に入れた作品づくりをしていなければ持ち得ないものだと筆者は思う。 

また、SFでは『流浪地球』(邦題・流転の地球)というタイトルが、時代を画する素晴らしい出来だった。ハリウッド映画でSF作品を見ると、3作、いや5作に1作くらいしか当たりがなく、見てがっかりということはよくあるのだが、『流浪地球』はSF作としての世界観、CGのクオリティ、娯楽作品としての完成度など、ハリウッドに全く引けを取らないと感じたーーと言うと褒めすぎかもしれないが、中国でこのクオリティのSF映画が生まれたことに自分が驚いたのはまぎれもない事実だ。 

他にも筆者が好きな作品としては、まるで初期の北野武映画のような趣きのある賈樟柯監督の作品全般、娯楽映画では『我不是薬神』(邦題・薬の神じゃない!)、『唐人街探索』(邦題・唐人街探偵)シリーズなど多々あるが、キリがないのでこの辺でまとめに入ると、中国映画はもはや一握りの巨匠が職人技で生み出すものではなく、あらゆるジャンルで新しい才能が生まれ、世界に通用するタイトルが生まれ続けている。その原動力にはさまざまな要因があるが、中でも筆者が重要だと感じているのは、中国国内で映画が娯楽の一つとして今もなお大きな存在感を持っている点、そして世界を見据えて映画が作られていることである。 

むろん、面白い映画がたくさんある一方、時には何だこれはと思うような駄作もあるが、いずれを見ても驚きがある。それは、これだけ映画に予算をかけて作れる国が他にどれだけあるか、日本で同じことができるかということだ。映画の出来は必ずしも制作費では決まらないとはいえ、低予算ではできないジャンルが多々あるのも事実。人材・予算・需要が揃っている以上、これからも傑作と呼ばれる中国映画がますます増えることに、自分は疑いを持っていない。 

最後に、もしこれを読んでいる方が中国語を学んでいるなら、ぜひ日本語字幕版ではなく中国語版で見ることをオススメしたい。幸い、中国映画には目の不自由な方でも楽しめるように必ず中国語字幕が付いている(これは他国も見習うべき姿勢だと思う)。言葉が聞き取れなくても中国語字幕を眺めていれば、何となく意味は分かるものだ。ちなみに、とりあえず1本、何かオススメ作品を挙げよと言われたら、最近では『独行月球』(邦題・月で始まるソロライフ)が面白い。もうすぐ日本はお正月休みに入り、中国は来月、春節を迎える。新作が続々と登場するこの時期こそ、映画ファンの方もそうでない方もぜひ映画館に足を運び、さまざまな作品を楽しんでいただきたい。 

「北京週報日本語版」2022年12月26日

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