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北京五輪の羽生ブーム
  ·   2022-02-24  ·  ソース:人民中国
タグ: 冬季五輪;フィギュアスケート;中日交流
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まだ北京に到着していないにもかかわらず大会の話題の中心になり、中国SNSで関連のハッシュタグの閲覧数は2億を超え、転倒しても温かな声援が続々と寄せられ、メディアも大々的に特集。自国の選手の活躍に注目が集まりがちだが、五輪の開催地中国では、自国選手に負けない抜群の人気を誇っているのは日本のフィギュアスケート選手羽生結弦だ。

彼を応援する理由は、五輪66年ぶりの連覇の達成や舞っている姿の美しさなどがあげられるが、それだけではない。

2017年の世界選手権がきっかけとも言われる。表彰式で3位の金博洋が手に持った中国国旗の裏表が逆で、それに気づいた羽生が直すのを手伝った。同大会で取材を受けていた羽生が金博洋を抱き締め、「天天(金博洋のニックネーム)加油(頑張れの意味)」と中国語で声をかける場面も中国で知られている。さらに「中国は好きですか?」とインタビューに質問され「I love China」と返答する様子や、「感謝中国」と手書きしたプレートを持つ姿も映し出されている。

中国に対する好意的な態度は、中国の人々に親しみを感じさせるようになった。だが、何よりも彼の人柄だ。北京五輪の会見を終えたのち、自らマイクやペットボトルを片付けていた。平昌五輪のとき、羽生は他の日本選手のインタビューに邪魔しないよう、四つんばいになって慎重にすり抜けた動画がSNSで広がった。

アスリートといえばやはり実力が大前提だ。中国の国営放送CCTVのコメンテーターは羽生の演技について「容姿は宝玉の如く、姿かたちは松の如し。軽々と羽ばたく様子は驚いて飛び立つ白鳥の如く、しなやかな美しさは自由に舞う龍の如し」と絶賛したことがある。それに対し日本のネットで「感動してしまう」などと声が上がり、話題になった。更に、ある日本人の方は中国コメンテーター「詩のようなコメント」の真似をし、「風林火山」の句「疾きこと風の如し」を引用し羽生の演技評価をブログに書き込んだ。羽生の北京五輪でのパフォーマンスについても、中国のピアニストやバレリーナたちは音楽やバレーなど様々な角度でを説明する動画をアップロードし、「作品を芸術品として心を込めて丁寧に作りあげているんだ」「胸いっぱいになる」と称えている。

たしかに、羽生の滑りは、技術の難しさを求めるだけでなく、表現力の豊かさ、そして細かいところまで繊細に作られていることが印象的だろう。音楽の選択から解釈まで工夫し、転倒しても美しく立ち上がって音楽を途切れさせなかった。さらに、ジャンプの精度を把握するため、エッジ(靴の刃)で削れた氷の跡を見つめたり、演技を上質に見えるため、手袋のデザインにさえこだわったりすると言われる。これらすべての細かいことにこだわることは、胸打たれる演技に役立つのだろう。

今回の五輪で、羽生は4回転アクセル(4A)を挑戦。転倒したら衝撃が普通の回転よりかなり激しく、五輪史上最も困難なジャンプで、前人未踏ともいえよう。その困難に比して、基礎点12.5点とは低く設定されている。人並外れた実力を持っている羽生にとっては、このジャンプを諦めても、十分頂点が狙える。それでも、彼は4Aへの執念を絶やさない。

喘息の持病で感染回避を最優先に、カナダにいるコーチのもとには一度も向かず。故郷仙台の旧知のリンクを借り切ってコーチにはリモートで指導を受けていた。孤独に加え、けがも繰り返し、一時は、得意の3回転半ジャンプまで跳べなくなった。「早く跳ばないと、体がどんどん衰えていくのは分かる」と彼は語った。新型コロナウィルスのパンデミックの2年間、毎日深夜から未明にかけて練習し、リンクの灯りが一向に消えなかった。

オリンピックというのは、世界でもっとも強い人たちが全人類を代表し、人間の可能性の極限を追求するものだ。点数やメダルではなく、絶えず挑む勇気がオリンピックの初心だ。結局4Aを実現できなかったが、この挑戦自体が偉く、人々に最高の感動を与えた。

中国メディア「極目新聞」の記者はこのように評論した。「殉教者のような壮絶感は、美しく繊細な姿とともに大きなコントラストを生んだ。羽生の今回の挑戦は、世界中の人の心を動かした」。羽生が好かれる人は大学受験生も多くて、「羽生を見て勇気づけられた。これから一緒に頑張ろう!」などの書き込みが多い。また、五輪の日程の最後となるエキシビションが終わったあと、ファンたちは友達を見送るかのように「また会いましょうね」とメッセージを書き込んだ。

羽生が持っている心遣いや繊細さ、プロ意識などの特徴は、彼自身の優れた性格というより、現在の日本の若い世代による自国文化の伝承や他国文化に対する尊重と受容を体現しているのだ。文化に国境なし。彼の演技と人柄は輝いて見え、中国の人々に好かれるのも当然だ。

中国の古典で「花が一輪咲いても春とは言えず、百花が一斉に咲き誇ってはじめて春が来る」という文がある。中国には、同じく新型コロナでコーチに会えなく、リモート訓練をしてきた蘇翊鳴選手がいる。スロープスタイルでは、誤審により銀メダルになっていたが、日本人コーチの佐藤康弘と共に非難の自制を呼びかけ、悔しさをバネに結局ビッグエアで金メダルを掴んだ。同項目で銀メダルのノルウェー選手、銅メダルのカナダ選手はみんな熱いハグと心からのお祝いをした。彼の物語に感銘を受けた日本人も多くいる。

北京五輪で、羽生と蘇翊鳴を含む各国新世代の若者たちは勇気あふれる健闘や国の垣根を超える行動で「より速く、より高く、より強く、ともに」という五輪のモットーを世界に発信している。「羽生ブーム」を呼んでいるのは決して北京五輪に限らなく、羽生らのオリンピック精神は後輩たちにも受け継がれ、世界各国の人の心に深く刻みつけるのだろう。

「人民中国」2022年2月23日

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