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中欧班列:ユーラシア大陸の経済を支えるバリューチェーンへ
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中国物流研究会幹事 福山秀夫 · 2022-10-13 · ソース:人民中国 |
タグ: 中欧班列;一帯一路;経済 | 印刷 |
鉄道コンテナセンター駅は発展し、国際陸港という自由貿易区の国際港務区を形成していく。つまり中欧班列は、国際陸港という国際港務区の戦略に基づいて動いているということになる。成都国際陸港の発展戦略を例に取ると、西に向かうのは欧州やパキスタンなどの「深化西向」の戦略だ。最近話題の中国ラオス鉄道や中国ミャンマー鉄道、中国ベトナム鉄道などは南向で「突出南向」戦略、日韓方面に広がる戦略は「提昇東向」戦略となる。中欧班列はこれら戦略に基づいて運営されている。東向にあたる日韓発貨物の接続は日系企業も頑張っており、日通が2018年5月に重慶・武漢が拠点の「ユーラシアトレインダイレクト」を作っている。日新も「日中欧SEA&RAIL一貫輸送サービス」を商標登録し、2019年4月に横浜港からアモイ・重慶を通ってドイツまでの路線を確立した。2020年12月、武漢新港という長江の港湾管理者が、自らの小会社の船を運航して、既に2019年に開設していた名古屋直行ルートを利用し、武漢コンテナセンター駅から欧州へ運んだ。その後大阪港、釜山港もこのルートに加わり、中部陸海連運大通道という中国人らしい大きな名前がつけられた。
また、在日のシノトランスジャパンは重慶へのルートで同じ国営の中鉄と組んでコストを安くし、威海港経由重慶への物流サービスを提供している。日中韓の高速船ネットワークは、RORO船やフェリータイプの船によるネットワークで、今年1月1日にRCEPが発効したため、初めての日中韓三カ国のFTAということで、コンテナ船ネットワークも含めた、三か国間物流による活性化が期待されている。
2017年から開始された、重慶と欽州港を鉄道と道路でつなぐ西部陸海新通道で、特に大事なのは鉄道だ。北から来る中欧班列のシルクロード経済ベルト、北東アジア航路と繋がる東の長江経済ベルト、南の東南アジア航路・欧州航路の3つの物流を繋ぐ役目を果たしている。つまりこの路線により、3つの地域間の物流が融合するようになるということだ。さらに中国-ベトナム間には中越班列が、中国-ラオス間には中老班列が、中国-ミャンマー間には中緬班列があり、これらは全て西部陸海新通道と共に、重慶を起点に中欧班列とつながっている。
中欧班列の成果と課題
一帯一路イニシアティブの発展成果として、私は以下のことが挙げられると思う。まずグローバルなコンテナリゼーションを推進し、これに貢献したこと。次に、ユーラシア大陸横断鉄道コンテナ輸送をグレードアップしたこと。それから国際複合一貫輸送上の新しいサプライチェーンを構築したこと。東アジアの巨大な国際物流ネットワークインフラも作られたこと。さらに大切なのは、5番目に東アジア複合一貫輸送共同体形成の道を開いたということだ。1から4までをやるためには、日中韓ASEANの共同体を形成するための相互協力が必要であり、一帯一路イニシアティブはまさにこの道を開いたと思っている。
中欧班列が現在のように急成長した影には、新型コロナウイルスの流行がある。
2011年当時の中欧班列の列車便数はわずか17便、コンテナ数で1000TEUに過ぎなかったが、2013年の一帯一路発表後、2014年の数字を見ると、列車便数で285%、コンテナ数で271%と急成長している。2021年は新型コロナの影響を受けているが、1万5183便で146万4000TEUとなっていて、2011年の約1000倍にまで拡大している。
この勢いはまだどんどん続いていくと私は考えている。RCEPがもたらすものは、北東アジア物流の活性化、東アジア域内航路の活性化、中欧班列と中国・アセアンクロスボーダー輸送の接続による活性化だ。そして最も大事なことは、一帯一路とRCEPが連携しているということだ。東アジア域内の物流サプライチェーンも陸のシルクロードと海のシルクロードが融合し、変化が始まっている。欽州港のハブ港化や東アジアと欧州間物流の変容は、アセアンに進出している日中韓の製造企業に大きなビジネスチャンスをもたらすだろう。それに合わせて、北東アジア航路釜山港、日本の5大港・北部九州港も活性化するだろう。西2通道(カスピ海ルート)も拡充されている。中国語で中吉烏と言う西3通道、つまり中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道開発は、2023年から始まる予定だ。
総括すると、一帯一路は国際物流において東アジアの国際物流に大きな利益をもたらしたと言えるだろう。今後の課題は、長大な中国沿岸部を接続域とする中欧班列と、北東アジア航路、東南アジア航路、アジア域内航路、国際RORO船との連携の強化だ。西部陸海新通道と中欧班列の連携強化も必要だ。これらが実現すれば、日中韓三か国の企業に大きなビジネスチャンスをもたらすだろう。コロナ後のサプライチェーンの再構築のため、海上輸送と中欧班列のバランスの取れた利用も必要になってくる。このような東アジア複合一貫輸送体制の構築については、日中韓ASEANの相互協力が不可欠だし、カスピ海ルートのグレードアップや中吉烏鉄道の建設も必要だ。そのためには日中韓ASEANの枠組みを超えた中央アジア諸国との相互協力も必要になるだろう。これらを達成すれば、中欧班列は欧州航路と並び、それを補完するサプライチェーンとなり、ユーラシア大陸の経済を支えるバリューチェーンへと成長するだろう。 (編集=呉文欽)
(プロフィール)
福山秀夫 1980年3月九州大卒。2020年8月日本郵船退職。2004~08年日本郵船北京事務所代表時、中国物流研究会入会、現在幹事。日本物流学会等4学会会員。
人民中国インターネット版 2022年10月12日
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