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中国からの大規模な資本流出は起きていない
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· 2016-11-28 · ソース: |
タグ: 人民元;為替レート;経済 | 印刷 |
このところ、人民元の対ドル為替レートの調整にともなって、市場で国外への資本流出に対する懸念が高まっている。しかし現実の状況としては、中国の比較的大規模な貿易黒字、安定した経済金融ファンダメンタルズ、比較的高い直接投資収益、開放が進む金融市場が収益とリスクのバランスを追求する長期資本の安定した流入を引きつけることができ、中国のクロスボーダー資本流動は依然ほぼ安定した状態を保っている。
クロスボーダー資本には流入もあれば流出もある。ここしばらくは流出圧力がやや大きいものの、状況は変わらず、一方的で大規模な流出は起きていない。最近発表された貿易データもこの点を物語っている。
現在、中国のクロスボーダー資本流入は安定している。まず、中国の経常収支が黒字、つまり資金の流入規模が大きく、しかも安定しているからである。流入において、経常収支上の資金流入はクロスボーダー資金流動が安定を保つ上での基盤であるにも関わらず、軽視されやすい。中国の現況を見ると、経常収支黒字の規模が依然として大きく、しかも安定している。これは国際貿易における中国の比較的強い競争力と符合する。
今後しばらくの間、経常収支は引き続き安定した黒字状態を保つだろう。物品貿易で得た外貨収入は為替決済を行って初めて資金の流入となるため、経常収支の流入は企業の為替決済レートとも関係している。今年4月以降、為替決済レートは為替レート変動の影響をあまり受けていない。一部の企業が為替レート予想によって為替決済を減らしたり遅らせたりしてはいるが、こうした操作は限られたものである。外貨収入のある企業が正常な経営を保とうとすると、どうしても一定量の人民元資金で国内の各コストの支払いを行う必要があるからだ。
もう1つの安定した流入源は、金融勘定のうち海外直接投資(FDI)による流入である。金融勘定全体としては流出が見られるが、勘定項目によって状況は異なる。FDI成長率は例年ほど速くはないが、国際収支における投資収益送金項目を見てみると、外国企業は中国で依然として比較的高い投資収益を得ている。世界的な資金低金利状況にある中で高収益を維持していることは、依然として安定した資金流入を引きつけている。
金融勘定では、今年に入ってから安定してきた流入がもう1つある。債券市場開放と人民元の特別引出権(SDR)通貨バスケット採用の影響を受けて、3月以降、域外機関の人民元建て債券保有が増え続けているのだ。他国の経験からすると、国際投資家の中国債券資産に対する需要は今後も比較的安定した成長が見込まれる。
また流出においても、企業の外国債券償還であれ、「走出去」(海外進出)であれ、域外金融資産買い増しであれ、その規模にはいずれも限度がある。クロスボーダー資本の大規模な流出が続く事態を引き起こすことはないだろう。
「北京週報日本語版」2016年11月28日
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