中国は世界貿易機関(WTO)加盟以降、経済規模で西側列強を次々に追い抜き、米国にすら追いつき追い越す勢いにある。これは西側を不安にさせている。西側から見ると、中国は彼らが期待したように西側の戦略軌道に組み込まれるどころか、反対に「便乗」方式で「世界最大の勝者」となっている。(文:王義◆・チャハル学会シニアフェロー、中国人民大学国際関係学院教授。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
西側は中国が台頭した原因を詳しく調べて、規模の巨大さ以外に、中国のいわゆる「国家資本主義」モデルに矛先を向けた。つまり中国は政治体制改革が遅滞しており、国有企業に巨額の政府補助を与えることで不公平な競争優位を享受しているというものだ。
時代は変わった。以前は西側諸国は中国を国際システムに組み入れ、形作ることを急いでいた。これは客観的に見て、中国がグローバル化に融け込むうえで助けとなった。現在ではグローバル化の新たな一波の敷居を高め、中国を排除し、最終的に中国が欧米に直線的に追いつき追い越す結末を回避しようとしている。
例えば近年西側は対中「ポスト関与政策」を推し進めている。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)などハイレベルの自由貿易協定によってグローバル化の新たな一波を先導し、環境コストや社会コストを組み込むことで、中国の国際的な競争優位を打ち消し、中国に改革を強制することを望んでいるのだ。
先日閉幕した中米戦略経済対話で、米国は明らかに中国の比較優位の強化と自国の対中比較優位の後退を懸念し、中国の特色ある社会主義市場経済体制に強い警戒心を抱いていた。
EUはそれ以上に「対等な関与」をスローガンに、損をさせられた顔をして、「メイド・イン・チャイナ」に対して絶えず反ダンピング、反補助金調査を行なっているうえ、中国製太陽光パネルに対して段階的に引き上げる巨額の制裁関税を課すと脅してすらいる。
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