「大部門体制」改革は国務院の大規模な機構改革として、改革・開放以来今回が6回目。この改革案は現在、各意見を調整中で、最終段階に近づいた。
重い行政コスト
「大部門体制」という言葉は、中国共産党第17回全国代表大会報告で初めて提起された。報告は、「機構統合の度合いを大きくし、諸職能を有機的に統一させる大部門体制の実行を模索する必要がある」と強調。
現在、政府機構はミクロ管理が多過ぎ、マクロ経済管理、市場監督・管理、社会管理と公共サービス部門の機構設置、職務配置、人員編制が弱い。このほか、各部門間の作業分担が細か過ぎ、業務の質がほぼ同じで職能がダブっているのが実情だ。
国家行政学院公共管理教研部の李軍鵬教授が行った統計によると、現在、国務院の各部門は80項目以上の職責を持っている。建設部だけでも、国家発展・改革委員会、交通部門、水利部門、鉄道部門、国土部門など24の部門との間に職能の重複や交錯がある。また、農業生産の前期、中期、後期への管理も14の部・委員会にかかわっている。
行政職能のズレと交錯は経済に「副作用」をもたらしている。中国経済体制改革基金会の樊綱秘書長がこのほど発表した研究成果によると、1999~2005年の行政コストの「副作用」による経済成長率はマイナス1.73%だった。
樊秘書長はまた、「政府の改革では、行政コストがGDPに占める比率を引き下げ、これを議事日程にのぼらせる必要がある」と強調。
学者の建議が徐々に推進
中国人民大学管理学院の毛寿竜教授は、国務院機構改革の重点について、次の三点を挙げた。
(1)経済調整と市場監督・管理機能をもつ部門を改革し、マクロ規制を強め、ミクロ関与を減らす。
(2)公共サービス機能をもつ部門を改革し、機構改革によって事業部門の改革を促す。
(3)国有企業を改革し、市場経済のさらなる発展のために良好な競争環境をつくる。
また、毛教授の政府機構改革に関するレポートは、「大部門体制の改革を二つの段階に分けて行うのは可能だ。今年はまず交通と農業分野でテストケースを行い、経験や教訓を総括する。次に事業部門の改革を徐々に推進した上で公共サービス分野の機構改革を進める。2013年にそれまでの改革の成果を強固にした基礎の上に、政治、職能、組織面の改革をさらに進めていく」と提案。
1982年以降、中国では下記の5回にわたり大規模な行政管理体制の改革が行われてきた。1982年、国務院の部門が100から39に削減。1988年、国務院の構成部門と直属機関がそれまでの67から60に、人員が9700人余り削減。1993年、国務院の構成部門と直属機関がそれまでの86から59に、人員が20%削減。1998年、国務院の構成部門が40から29に削減。2003年、国務院は国務院国有資産監督管理委員会、中国銀行業監督管理委員会、商務部、国家食品薬品監督管理局を設置。
国家行政学院の汪玉凱教授は「5回に及ぶ改革を経験した政府機構は、専門的管理体制から総合的管理体制へと徐々に転じている」と指摘している。
「北京週報日本語版」2008年1月16日
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