全国人民代表大会と全国政治協商会議の開催期間に、代表と委員たちは最高人民法院と最高人民検察院の活動報告を審議した際、権力とおカネによって誘発される腐敗が中国の腐敗取締りの重点になっていることを痛感した。

最高人民検察院の活動報告によると、昨年、中国の各クラス検査機関が立件してとり調べた汚職、贈収賄、権利侵害案件は3万3668件、犯罪の嫌疑がかかった県・処クラス以上の公務員は2736人、庁・局クラスは202人、省・部クラスは６人であった。

以前取り調べた腐敗案件と比べれば、権力とおカネの取引による腐敗は多発の勢いを呈している。

中国社会科学院社会学研究所の邵道生研究員は「20世紀90年代以来、腐敗が商品流通分野から資本分野に徐々に移ってきた。国営企業、大型プロジェクト建設、土地譲渡および金融運営などの分野では権力を利用して資金を手にしようとする腐敗現象が普遍的に存在しているため、腐敗取締りの重点的分野となっている」と強調。

権力とおカネの取引による腐敗の基本的特徴について、邵道生研究員は「『不法商人＋神秘的な人間関係網＋揺るがすことが難しい権力の背景』の間のヤミ取引は権力とおカネの取引による腐敗の内容を構成するものとなり、地方における腐敗集団の形成の基本的パターンでもある」と指摘。

今年の「両大会」で、全人代代表と政協委員数人が腐敗と関連があるため、代表・委員の資格が取り消された。邱暁華元国家統計局局長の収賄案件、鄭筱萸元国家食品薬品監督管理局局長の汚職案件などは権限を利用して私利を貪る典型的な違法案件だ。

中国政府は昨年、権力とおカネの取引による腐敗の特徴に対応し、商業賄賂の取り締まりに力を入れることになった。各クラス検察機関が立件して取り調べた公務員と関連のある商業賄賂犯罪案件は9582件、案件関連の金額は15億元余りとなっている。医薬分野のほか、プロジェクト建設、土地譲渡、所有権取り引き、政府調達、資源開発などの分野も商業賄賂取締りの重点とされている。

王尚宇全人代代表・河南省人民検察院検察長は「商業賄賂は常に商業リベートのベールによって隠され、秘匿性と欺瞞性をもつ。現在、商業賄賂という犯罪行為は経済活動の諸分野にまんえんし、進出しており、そのほとんどは公務員が権限を乱用しておカネを貪ることと関係がある」と分析している。

これらの案件は波及する面が広く、悪質なものであるため、全人代代表と政協委員は「両大会」開催期間に、制度とメカニズムの構築を強化し、『廉潔政治法』を制定し、国の腐敗防止機関を設立し、国際司法機関との協力を展開するよう呼びかけた。

また、邵道生研究員は「社会の転換期にある中国は現在、各分野には大きな利益の誘惑が存在し、一部の地域や業種の間に特別な利益グループが結成されている。現行の制度に依ってこれらの不法的利益集団を制約することは不可能であるため、権力とおカネの取引による腐敗取締りは長期的かつ厳しいものとなろう」と指摘している。

「北京週報日本語版」2007年３月29日